絆創膏の「バンドエイド」で有名なジャンソン・エンド・ジョンソンは、2023年にコンシューマーヘルス事業を分離し、利益率の高い医薬品や医療機器部門の2つ事業に絞るビジネスモデルに舵をきりました。医療機器への投資では、ショックウェーブ・メディカルを131億ドルで買収することで合意。今四半期決算は、事業戦略の成果と医薬品部門の強さを示す内容となりました。
どんな会社
企業プロフィール
- 設立:1886年
- 上場:1944年
- 総合ヘルスケア大手
- セクター:ヘルスケア(Healthcare)
- 株式時価総額:3,532億ドル
- 2023年年間売上高:852億ドル(会計年度12月)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、医薬品と医療機器の2部門を主軸とする総合ヘルスケア企業。2023年に消費者向け製品部門を事業分離し、2部門体制での事業を展開。(それまでも医療機器分野で世界2位、医薬品分野で世界5位以内の実力を持つ)
*円グラフにカーソルを合わせると両部門の売上がわかります。単位百万ドル
医薬品部門
関節リウマチ治療薬「レミケード」、腫瘍治療薬「ダラザレックス」、感染症治療薬「ステラーラ」等。また、HIV/AIDS、精神疾患、がん、循環器疾患など、さまざまな治療領域向けの製品を開発・販売。これらは、病院や医療従事者を通じて提供されています。
医療機器部門
心臓リズム障害を治療する電気生理学製品、高リスクPCIを必要とする冠動脈疾患治療技術、脳卒中治療製品、整形外科製品、外科手術用ソリューション、ACUVUEブランドのコンタクトレンズなど、幅広い製品ポートフォリオを展開。
最新四半期業績/2024年1-3月(第1四半期)
ポイント
2024/1-3月(Q1) | 2023/1-3月(Q1) | 前年同期比 | |
売上高 | 21,383 | 20,894 | +2.3% |
営業利益 | 6,440 | ▼1,287 | 黒転 |
当期利益 | 5,354 | ▼491 | 黒転 |
EPS | 2.71 | 2.41 | +12.4% |
- 売上高:2024年第1四半期の売上高は前年同期比で2.3%増の214億ドル。
-広範な製品ラインと強固な市場ポジションを反映。 - 営業利益:64億ドル(前年同期比より黒字転換)
- 調整後EPS(1株当たり利益):2.71ドル(前年同期比+12.4%)
- 医薬品部門:売上高136億ドル(同+1.1%増)
- 医療機器部門:売上高78.2ドル(同+4.5%増)
- 2024年通期の会社計画は、売上高880-884億ドル
また、同社は4/5に医療機器メーカーのショックウェーブ・メディカル(心臓領域に強み)をおよそ131億ドルでの買収を発表し、2024年後半に買収を完了する見通し。
“ジョンソン・エンド・ジョンソンの第1四半期の堅調な業績は、当社の集中力の強化、ポートフォリオとパイプラインの進展を反映したものです。当社の影響力は、ヘルスケアの全領域に亘り、業界内でもユニークなものです。この四半期に達成したマイルストーンは、イノベーション大国としての当社の地位を強化するものです。”
–ジョアキン・ドゥアルテCEO
部門別パフォーマンス
医薬品、医療機器2つの部門の主な貢献。
医薬品
- 主力製品:免疫療法薬「Tremfya」、がん治療薬「Darzalex」、抗凝固薬「Xarelto」が主要な成長ドライバー
-堅調に推移し、特に新薬の市場投入が好調でした。
医療機器
- 成長要因:外科用機器や視覚補正機器の販売が増加。また、手術ロボット技術の進展がこのセグメントの成長を後押ししています。
今後の展望として、バイオテクノロジーやデジタルヘルスの分野での進展が期待されています。
62年連続増配
配当
ジョンソン・エンド・ジョンソン62年連続増配を行なっている企業。2024年も増配の継続年数を積み上げる可能性は高いと思われます。
- 2024年の直近は配当は1.24ドル
-配当→1.24×4=4.96ドル(年間配当)/株価146.76ドル(6/11)
-配当利回り→4.96/146.76×100=3.38%
*配当利回りは、株価(購入金額)と実際の配当によって変わってきます。税金、手数料は考慮していません。
株価の動き
*株価は、各月末の終値です。6/11はその日の終値。チャートにカーソルを合わせると株価が確認できます。単位ドル
まとめ
2024年第1四半期決算は、売上高、営業利益、EPSの全てにおいて前年同期比での成長を示し、同社の強固な市場ポジションと優れた経営戦略を裏付けるものとなりました。医薬品、医療機器の各セグメントでの成長は、同社の多様な製品ポートフォリオの強みを反映。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは引き続きイノベーションを推進し、ヘルスケア業界におけるリーダーシップを強化していくことが期待されます。
また同社の持続的な成長と革新へのコミットメントは、今後も投資家の注目を集めるでしょう。堅実な業績と強固な財務基盤を持つ企業として、株主に対しても高い信頼を提供し続けていくものと思われます。
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