今週の米国株式市場は、FRBの政策決定や主要企業の決算発表が相次ぎ、大忙しの1週間。FOMCの
利下げ見通しやアマゾンやアップルの好決算が投資家の注目を集めました。
FOMCの結果と市場の反応:利下げ期待が高まる
週末のマーケット
今回のFOMC
- 政策金利の据え置き、5.25-5.50%。6会合連続の据え置き
- 複数月のインフレ率は目標の2%に向けての進展が見られない
- 年内の利下げ回数は、金利先物市場から見ると今回の会合前の年1回から、年1-2回に変化
- 「次の政策金利が利上げになる可能性は低い」とパウエル議長
- 一方、持続的にインフレ率が2%に向かっているという確信が持てるまで利下げは適切ではない
- 利下げが相当遅れていることも示唆
- 6月から保有国債の削減ペース(上限)を月600億ドル→月250億ドルに弱める→少し緩和的?
【4/30-5/1】FOMCでは据え置きの政策金利。少しハト派的?。利上げの可能性を打ち消すも利下げの回数は・・・米公開市場委員会のまとめ。←FOMCについてはこちらをチェック!
1週間のダイジェスト
*日付をクリックすると、その日のマーケットの動きがわかります。
- NYダウは前週末から上昇して、週のスタート。
- アップルが2.4%上昇。投資判断の引き上げ、オープンAIとの技術利用協議再開のニュースを好感。
- テスラは中国での「フルセルフドライビング」の実用化に向けた期待感から15.3%上昇。
- 長期金利の上昇が一服し株式市場への追い風に。
- アマゾンとアップルの注目企業の四半期決算発表を前に市場は様子見ムードに。
- 1日米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが予想。
アマゾンとアップルの決算
アマゾンは小売部門の収益性アップとクラウド部門のAWS成長が確認されています。一方アップ
ルは大規模な追加自社株買いと増配を決定。両社の決算概要は以下のとおりです。
アマゾン(AMZN)
- 売上高-1,433.1億ドル(予想 1,426億円)
- EPS(1株利益)-0.98ドル(予想 0.82ドル)
- オンラインストア-546.7億円(予想 548億ドル)
- AWS-250.4億ドル(予想 241億ドル)利益は94.2億ドル
AWSの売上高は、年ベース1,000億ドル規模に。
「小売部門のコスト削減と収益性重視し、より効率的な倉庫ネットワークを構築してきた。・・同
時にAIサービスへの大規模な投資をしている。顧客企業が近代化の取り組みを刷新していることプ
ラス、AWSの成長が再加速している・・」ジャシーCEO。
アップル(AAPL)
- 売上高 907.5億ドル(予 903億ドル)
- EPS(1株利益)1.53ドル(予 1.5ドル)
- 製品 668.9億ドル/サービス 238.7億ドル
- サービス部門の売上高は過去最高
- 1,100億ドルの追加自社株買いと12年連続の増配を決定
-中国市場での売上高に不安視されていたほどの減少はなく、アップルの業績減速が緩和されつつあ
ることもマーケットには安心感を与えていたようです。また、AIの分野で遅れ?を指摘されていた
アップルでしたがOpenAIとの協議を再開、ChatGPTの技術を今年のiPhone新機能に統合する計画
を話し合っているとニュースが伝わってきました。交渉は非公開で進行中で、次期iOS 18への具体
的な技術統合の方法が検討されているとのこと。また、AppleはGoogleのGeminiチャットボットの
ライセンスについても交渉を続けており、AI技術の積極的な採用を進めています。
経済指標から読み解く、再び高まる利下げ期待
3日(金)には4月の雇用統計とISM非製造業景気指数が発表されましたが、総じて弱い経済指標であ
ったため、利下げ期待が再び高まりました。
4月の雇用統計
- 非農業部門雇用者数(NFP)-+17.5万人(市場予想24万人)
- 失業率3.9%(予想3.8%)
- 平均時給-前月比+0.2%(予想+0.3%)
- 前年比3.9%(予想+4.1%)
4月のISM非製造業PMI
- 4月のISM非製造業PMIは49.4(予想52.0)1年4カ月ぶりに50ポイントを下回る。
経済指標の弱さを受けて、米10年債利回りは4.571%から一時4.45%台まで低下(4.507%で終了)。
まとめ
CMEのフェド・ウォッチによると、9月のFOMCでの利下げ確率は62%から68%に上昇し、年内
2回の利下げ確率も51%から61%に。現在のマーケットの関心は、企業の決算発表に注力されては
いますが、あいかわらずインフレ要素の強い経済指標等の数字には、ナーバスに反応。それでもS&
P500種採用企業のうち今四半期決算を発表を終えた373社の77%が市場予想を上回る内容にあるの
でFRBが求める、経済のソフトランディングは達成されつつあり、今のマーケット環境をネガティヴ
にとらえることはないと考えます。
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