インフレ懸念が続く中、ビッグテックをはじめとするハイテク企業の四半期決算の内容に一喜一憂
の今週のマーケット。地政学的緊張(イランとイスラエル)の緩和と予想を超える企業業績に市場が
どのような動きを見せたかをまとめています。
インフレと企業業績の影響:市場の不安と期待
今週のまとめ
- ビッグテック(M7)のうち、テスラ、メタ、マイクロソフト、アルファベットが決算発表
- マーケットはビッグテックの決算に好印象、発表後の株価はメタ以外上昇
- PCEコアデフレーターは、市場が警戒したほどでなく、長期金利にも多少の落ち着き
週末のマーケット
インフレ懸念が続く中、ビッグテックをはじめとするハイテク企業の四半期決算の内容に一喜一憂
の一週間でしたが、週末はマイクロソフト、アルファベット等の好調な決算発表を受けて上昇。3月
のPCEコアデフレーターが予想を上回りましたが、市場が警戒していたほどではなく、また長期金
利の低下を好感し、特にハイテク株を中心に市場は堅調に推移していました。

1週間のダイジェスト
*日付をクリックすると、その日のマーケットの動きがわかります。
22日
- 週明けは、続伸して始まる。
- 中東情勢の緊張緩和が投資家の心理を安定させ、ハイテク株の自律反発期待により買いが集中。
- イスラエルとイラン間の対立緩和観測。金先物と米原油先物が下落。
- エヌビディア株が大幅下落後、買い戻しが活発化。
- ハイテク企業の決算発表が今週から本格化。テスラ、メタプラットフォームズ、マイクロソフト、アルファベットの発表予定。
- AI投資の拡大が業績の追い風として期待されるが、市場の期待値が高い。
- 半導体関連株が全般的に買われる一方、テスラは下落。
FRBの注目するPCEコアデフレーター
PCE(Personal Consumption Expenditures)-米国商務省が毎月下旬(例えば、11月に10月分)に公表する、米国の家計が消費した財やサービスを集計した経済指標。GDPのおよそ7割を占める米国の個人消費支出は、先行指標とされています。この個人消費支出のうち、変動の大きい食品とエネルギーを除くPCEコアデフレーターは、FRB(米連邦準備理事会)がインフレ指標として重視することから、特に注目度合いが高いです。
3月のPCEコアデフレーターは、
- 前年比 2.8%(予想 2.7%)
- 前月比 0.3%(予想 0.4%)
下記のグラフは、2022年のインフレ指標(消費者物価指数、PCEコアデフレーター)のピークと見ら
れる時点から、26日に発表された、2024年3月までのインフレ率の動きを示しています。急激なイ
ンフレに対し、連続の政策金利の引き上げで対応したFRB。その効果もありPCEコアデフレーター
はFRBが目標とする、2%に近づきつつあります。
*CPIは消費者物価指数。チャートにカーソルを合わせると具体的な数字がわかります。
テスラ、メタ、マイクロソフト、アルファベットの決算は?
インフレ懸念を和らげるビッグテックの決算
テスラ(TSLA)<1-3月期/第1四半期>-23日
- 売上高 213億ドル3兆3,000億円(予想 221億~223億ドル)
- EPS(一株当たり利益)0.45ドル(予想 0.52ドル)
- 粗利益率17.4%
- 来年の後半に向け、求めやすい価格帯の新モデルの投入加速
- 24年の販売台数の伸びは「著しく低下」する可能性新モデル加速を好感。
- 株価は先行売りからの反発!?
メタ(META)<1-3月期/第1四半期>24日
- 売上高 364.6億ドル(予想 361億ドル)
- うち広告収入:356.4億ドル(予想範囲内)
- EPS(1株当利益) 4.71ドル(予想 4.3ドル)
- 売上高、EPSとも予想を上回るも、4-6月期の売上高見通しが予想を下回る。
- データセンター、AIハードウェア、サーバー等の関連費用通期の経費見通しを引き上げ
- 株価は下落基調
マイクロソフト(MSFT)<1-3月期/第3四半期>25日
- 売上高 618.6億ドル(予想 609億ドル)
- EPS(1株利益)2.94ドル(予想 2.83ドル)
- クラウド売上高351億ドル(予想340億ドル)
- 主要3部門はいずれも予想を上回る
- AI効果でアジュールの売上も伸びる
- 株価は堅調
アルファベット(GOOGL,GOOG)<1-3月期/第1四半期>25日
- 売上高 805.4億ドル(予想 790億ドル)
- EPS(1株利益)1.89ドル(予想 1.53ドル)
- グーグル広告 616.6億ドル(予想 602億ドル)
- ユーチューブ広告 80.9億ドル(予想 77億ドル)
- クラウド 95.7億ドル(予想 94億ドル)
- クラウド部門好調。現金配当と自社株買いを発表
- 生成AIジェミニ、順調
- 株価は大幅上昇。


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