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WTI、原油先物価格が経済再開のバロメーター。そして、インフレの指標へ

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昨年の4月には、コロナ・ショックのために使う量が激減(需要が急減)した原油。先物の独特のシステムと大量に出た売りの圧力で、WTI原油先物価格はマイナス▼40ドルを切るという歴史的な価格、異常値まで下落しました。ところがその後は上昇傾向で、いつのまにか、気がつくと直近では、プラス+70ドル台まで回復。ボラティリティ(変動幅)が半端じゃありません。

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原油価格が大幅に下落したわけは、やはり・・・

昨年の4月20日にニューヨーク原油先物市場で史上初めて、WTI価格がマイナスとなる事態となりました。新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から世界的に経済活動が抑制。原油需要が激減したのが、大きな理由でした。

保管する場所がない!

その結果として在庫が大幅に増加、保管スペースの不足が心配され、いっきに売りが加速したと考えられています。原油先物WTIの5月物は4/21 に取引を終えることから、買手は1日持ち続けると原油の現物をそのまま引き取らなければなりません。

ところが、先物取引の参加者の多くは、実物の原油を必要としない、ヘッジファンドなどの投機筋です。現物の原油を受け取らずに済むように、投げ売りしたことが、下落を加速させたとも言われています。

負のスパイラルへ

また、石油輸出国機構(OPEC)がこの時、公表していた見通しによれば、4月の世界の石油需要は日量およそ2000万バレルも減るとのことでした。「OPECプラス」は、減産で合意していたものの需給悪化(需要過多)が予想以上になる可能性もありました。

米国の原油在庫の急激な積み上がり→米国の貯蔵能力の限度を超えそう→保管コストがかさむ(嵩む)生産業者の手仕舞い売り、投機筋の投げ売り→5月物を中心に売りが殺到した→と見るのが大方の見方となっていました。これが、昨年までの動きです。ところが・・

原油価格の上昇は、経済再開の過程で

コロナ・ショックからの立ち直りを目指し、アメリカと中国がリードする形で、欧州、新興国まで広がり、世界経済の再開、景気回復は日に日に明らかになりつつあります。特に、米国は、積極的な財政・金融政策に支えられ、ワクチン接種も急ピッチで進み、様変わりの状況となっています。

需要見通しが、一変した原油

IEA(国際エネルギー機関)によると、2021年(日量9640万バレル)、2022年(日量9950万バレル)ともに前年比日量で増加する見通し。想定以上の速いスピードで経済回復は進み、景気回復に伴う需要増が大きな要因として、原油価格の急激な上昇を後押ししていると考えるのが自然です。原油に限らず、コロナ・ショックからの需要増に対し、インフラを含む供給サイドが、十分に機能できない状況が出始めてきています。

エコ政策への流れは、止められない?

エコ政策へのシフトは、世界的な潮流であり、誰にも止めることはできません。米国のバイデン政権も政策の中心に、環境への積極的な取り組みをあげ、パイプライン建設や油田開発には強い規制措置を発表しています。老朽化した油田施設も多くなっているのが現状です。

OPECプラスの混迷

先月6月のOPECプラスの会合では、UAE( アラブ首長国連邦)が、原則合意に反対。足並みがそろわず、減産幅の縮小と減産期間の延長も考えられ、原油需給がタイトになり、これも原油価格上昇の要因となる可能性があります。

WTI原油先物上昇が、インフレへの懸念を示す?

WTI原油先物とは

WTI(=West Texas Intermediate-ウェスト・テキサス・インターミディエイト)は、米国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称です。WTI先物は NYMEX (=ニューヨーク・マーカンタイル取引所 )で取引が行われています。1983年5月に上場。WTIの取引では、集油所のあるオクラホマ州で現物の受け渡しが行われます。WTI価格はこの取引価格で決まり、その価格は世界の原油価格の中で最も有力な指標とされていますが、実際のWTIの一日あたり産出量は100万バレルに満たないのに対し、WTI先物の一日あたり取引量は100倍の1億バレルを超えるほどの規模になりますので、先物価格が現物価格をリードしていると言えます。世界中の多くの投資家が参戦することから、世界経済を先行きを示す指標として、注目が集まります。

1月47.62
2月53.55
3月60.64
4月61.45
5月64.49
6月67.72
7月75.23
2021年のWTI原油先物価格推移(*価格は各月の中心限月月初の終値、単位はUSドル/バレル

*原油1バレルは、およそ159リットル。

米国では、ガソリン価格が高値に

国土が広大なアメリカは、典型的な車社会ですが、米国の先物ガソリン価格は、2014年以来の高値レベルまで、上昇。ガソリン価格の上昇が、家計や企業にエネルギーコストに与える影響は、大きく、さらには、広範囲にわたる製品やサービス価格の上昇につながる可能性も高いと思われます。

インフレは一過性のものなのか?

「経済再開のペースが速いため、それに伴うインフレは一過性のもので、いずれ落ち着く」とFRB(米国の中央銀行にあたります)が現在の状況を見ていることが、FOMC議事録からも、うかがえます。ただ、インフレの先行指標とされる原油価格のここまでの動きを見ていると、物価上昇、インフレに対する懸念を拭い去ることは、難しいかもしれません。

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