2023年4-6月期の決算発表は投資家、そしてテクノロジー業界全体から大きな注目を浴びました。。MAU(メタファミリー月間アクティブユーザー数)は38.8億人を記録。単価は減少も、広告インプレッション(表示回数)は増加。この記事では、これらの数字の背後にある企業使命、そしてメタが直面する挑戦と未来戦略について深堀りします。
売上高は320億ドル、営業利益は94億ドル
21年第4半期以来の二桁の増収。景気減速の影響で企業が広告費を抑える状況が続いていましたが、広告需要回復が業績に寄与。広告収入は前年同期比+12%増、Q1(第1四半期)からも加速。リール(短編動画)の収益化が順調に進んでいる(ザッカーバーグCEO)としています。
4-6月決算概要
2023/4-6月(Q2) | 2022/4-6月期(Q2) | 前年同期比 | |
売上高 | 31,999 | 28,822 | +11% |
営業利益 | 9,392 | 8,358 | +12.4% |
当期利益 | 7,788 | 6,687 | +16.5% |
EPS | 2.98 | 2.46 | +21% |
メタファミリーの月間アクティブ人数は、38.8億人!
中国とインドの人口を足した以上の稼働ユーザー数は持つのは、驚異的です。ファイスブックから、インスタグラム、リールは、テキストから写真、そして動画と時代の流れを的確に表現していますね。
- 日々(ディリー)のファミリーアクティブ人数(グループ全体、DAP):DAPは*6月平均で30.7億人(前年比7%増)
- ファミリー月間(マンスリー)アクティブ人数(MAP):6月30日現在38.8億人(前年同期比6%増)
- Facebookデイリーアクティブユーザー(DAU):20.6億人(前年比5%増)
- Facebook月間アクティブユーザー数(MAU):30.3億人(前年比3%増)
*いずれも2023年
*DAP-(Family Daily Active Person)→「Facebook」「Instagram」「Messenger」「WhatsApp」(Family of Apps)に登録してログインしているユーザーで、特定の日にモバイルアプリを介してまたはWebやモバイルブラウザを使用して、これらのファミリー製品を少なくとも1つにアクセスした人とメタは、定義しています。
ハイライト
- 広告インプレッションと広告単価:広告インプレッション34%増、広告単価16%減
- 売上高:320億ドル(前年比11%増、為替調整後12%増)
- 費用:226.1億ドル(前年比10%増、未払い訴訟費用とリストラ費用含む)
- 資本支出:63.5億ドル
- 自社株買い戻し:7億9,300万ドル、残り可能額409億1,000万ドル
- 現金・現金同等物・有価証券:534億5,000万ドル、フリーキャッシュフロー109.6億ドル
- 長期債務:183億8,000万ドル
- 従業員数:71,469人(前年比14%減)
- 構造改革:効率性追求と事業再編を目的とした施策を実施、従業員レイオフほぼ完了、施設統合とデータセンターリストラ継続中。-*Meta Reports Second Quarter 2023 Results等から抜粋。DeepLで翻訳しています
部門別売上高
メタの「Family of Apps」とは、同社が提供する一連のアプリケーションの総称です。これには、Facebook、Instagram、Messenger、WhatsAppなどが含まれます。これらのアプリケーションは、メタの主要な収益源であり、特に広告収入に大きく貢献しています。
*単位は百万ドル。円グラフにカーソルを合わせると金額がわかります。
地域別売上高
*単位は百万ドル。円グラフにカーソルを合わせると金額がわかります。
メタビジネスモデルの核
Advertising Revenue(広告収入)
「Advertising revenue」(広告収入)は、これらのアプリケーション上で企業や個人が広告を掲載することによってメタが得る収益です。FacebookやInstagramのフィード、ストーリーズ、動画広告など多岐にわたるフォーマットで、ユーザーに対してターゲット広告を提供します。メタの高度なターゲティング技術により、広告主は自社の商品やサービスに興味を持ちそうなユーザーに直接アプローチすることが可能です。これにより、広告効果の最大化と広告収入の増加が見込めます。
Other Revenue(その他の収入)
「Other revenue」(その他の収入)は、広告以外でメタが収益を得るさまざまな手段を指します。例えば、FacebookやInstagram内でのユーザーによるゲーム内課金や、Facebook Marketplaceでの販売手数料、Oculus(VRデバイス)のハードウェア販売などがこれにあたります。また、WhatsApp Businessなどの企業向けサービスによる収益も含まれる場合があります。
メタの「Family of Apps」は、世界中の人々がコミュニケーションを取り、情報を共有するためのプラットフォームを提供しており、これらのアプリケーションを通じて得られる広告収入とその他の収入が、メタのビジネスモデルの核を成しています。
株価は堅調
S&P500の11のセクターのうち、メタは、アルファベットと同じくコミュニュケーション・サービスに分類され、このセクターのリーダーとして活躍しています。
景気が悪くなると、企業は広告にかけるお金を減らしますが、景気がよくなり始めると、また広告にお金をかけるようになります。株価が上がっているのは、この広告費を増やしたいという需要に、うまく応えられているからだと考えられます。もちろん、人員削減など厳しいリストラをこなしていることも見逃してはならないポイントです。
*株価はドル。各月末の終値。チャートにカーソルを合わせると株価がわかります。
Reality Labs: メタが描くVRとARによるコミュニケーションの未来像
Reality Labsは、メタが運営する部門で、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)技術、および関連ハードウェアとソフトウェアの研究開発に特化しています。この部門は、人々のコミュニケーション方法を革新し、デジタルと現実世界の境界を曖昧にすることを目指しています。
Reality Labsの活動は、以下のような幅広い領域に及んでいます。
VR(仮想現実)とAR(拡張現実)
- VRデバイスとエクスペリエンスの開発:Oculus RiftやOculus Questなどのヘッドセットを通じて、ユーザーが完全に仮想環境に没入できる体験を提供します。ゲーム、教育、トレーニング、エンターテインメントなど、多岐にわたる用途で使用されています。
- AR技術の進化:現実世界にデジタル情報やイメージを重ね合わせる技術を開発しています。これは、スマートフォンアプリや将来のARグラスを通じて、ユーザーの日常生活に役立つ情報やエンターテインメントを提供することを目指しています。
ソーシャルVR/ARプラットフォーム
- メタは、VRやARを活用して人々が仮想空間内で交流したり、共有体験を楽しんだりできる新しい形のソーシャルネットワーキングを開発しています。これには、友人や家族との仮想ミーティング、共同作業、イベント参加などが含まれます。
Reality Labsは、フューチャー・テクノロジーの研究
- Reality Labsは、将来のコンピューティングとコミュニケーションの形を形作るための基礎研究も行っています。これには、脳波を読み取って操作を行うインターフェースや、より自然な人間とコンピュータの対話を可能にするテクノロジーなどが含まれます。
Reality Labsの取り組みはメタの長期的なビジョンである、仮想空間での人々の生活・仕事・遊びが融合した新しいデジタル世界を目指す「メタバース」の実現に不可欠です。Reality Labsの技術はその基盤となるものです。
まとめ
2023年4-6月第二四半期決算と今後のメタ
メタの情報を共有するためのプラットフォーム(フェイスブックやインスタグラムなど)を通じ得られる、広告収入とその他の収入が、メタのビジネスモデルの核であることを再確認できる今決算でした。
続く7-9月期(Q3)についても、売上高の計画を「320-345億ドル」とする市場予想を上回る内容となっています。
- 広告需要の改善と従業員レイオフ等リストラの効果により業績は前年同期比二桁の伸び。
- ファミリーグループのユーザー数は堅調に増え、月間アクティブユーザー数は6月現在38.8億人
- メタバースの実現に向けて、迷いなしのメタの未来戦略
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