バフェットのバークシャー・ハサウェイという会社が、大半の株式を所有することで支配する会社(保険業、鉄道、エネルギーが代表的なところ)と素晴らしい事業の一部を所有する非支配会社を持つ、多角的経営を行う複合企業体であることが理解できました。ここであげるのはバフェットの言うところの、
より収益性が高く、より楽しく、はるかに仕事が少ないことを確信した、素晴らしい事業を営む、バークシャーが支配しないで所有する企業群、つまりのポートフォリオ(どこの企業をどれくらい買っているかを表すもの)です。
バークシャーのポートフォリオ(2021年6月末)
私の記憶が正しければ、バフェットは「自分が理解できるビジネスしか投資しない」と特にIT関連の企業には関心を示していなかったと記憶しています。実際、親友であるビル・ゲイツのマイクロソフトの株さえも買っていないのがその証でした。今回は、ポートフォリオ上位5社をあげましたが、その中から特にアップルとコカ・コーラをピックアップしたいと思います。
アップルだけでポートフォリオの40%
銘柄名 | シンボル | 株式数(万株) | 持分比率 | ポートフォリオ構成比率 | 市場価値(百万ドル) |
アップル | AAPL | 88,714 | 5.37% | 41.47% | 121,502 |
バンク・オブ・アメリカ | BAC | 101,010 | 12% | 14.21% | 41,646 |
アメリカン・エキスプレス | AXP | 15,161 | 19.1% | 8.55% | 25,051 |
コカ・コーラ | KO | 40,000 | 9.3% | 7.39% | 21,644 |
クラフト・ハインツ | KHC | 32,563 | 26.7% | 4.53% | 13,279 |
その他40数銘柄 | 24% |
なぜ、彼はアップル株に投資したのか?
アップルは、テクノロジー企業である一方で、ご存知の通り、iPhoneやiPad等でシンプルな使いやすさとおしゃれなデザインで、ユーザーにライフスタイルを提案するファッションブランドのような、消費関連企業でもあります。一度、アップル製品を購入してしまうと、ファンとなって何年にもわたり使い続けてくれます。新商品が
出るたびに買い替えを考えてくれる信者も多くいます。ユーザーのロイヤリティー(iPhone以外は買わないとか)が非常に高いのがアップルを支える原動力です。それはバフェットが1日に5本は飲む😵!と言うコカ・コーラへのロイヤルティ(ペプシではなく)と同じです。
アップルをテクノロジー企業ではなく、消費関連企業と捉えれば、バフェットの得意分野となります。しかも、その企業は年々ファンを増やす、素晴らしい事業を行う超優良企業なわけですから、投資対象となるのもうなずけます。
バフェットがアップル株にはじめて投資をして話題となったのが、2016年5月でした(1月~3月購入分 1,100億円)。株式分割を考慮した当時の株価は、大体20ドル台前後くらいでしたので6月末の130ドル台は、株価だけをみても6倍ほどになります。(ちなみに、2016年年初来からの2021年6月末までの代表的指数は、おおよそNYダウ→1.9倍、S&P500→2.1倍、ナスダック→2.9倍です。)
アップル自体の配当や分割、自社株買い(もちろん値上がりの効果も)によって、バークシャーが保有するアップルの直近の市場価値は1,200億ドル(=約13兆円)までになっており、この投資がいかに成功だったかを証明しています。
大好きなコカ・コーラ
次に、バフェットがなぜコカ・コーラに投資しているのか考えてみましょう。バフェットがコカ・コーラに目をつけたのは、もちろんこの会社のビジネスが将来にわたり確実に伸びると考えたからです。キーワードは世界的な人口増加。アップルと比
べると華やかさは劣りますが、そこには世界の潮流を読み、その流れを捉えている実にシンプルな投資戦略があ
ります。バフェットがコカ・コーラへの投資をはじめたのが、1988年でこの時の世界の人口は、50億人位。日本やEU諸国のように今後
少子高齢時代に入り、人口に伸び悩む国々はありますが、世界全体としては*2018年には76億、2050年には97億人(*『国連 World Population Prospect』より)になると言われています。中でも中産階級は総人口より速いペースで増えると予測
されています。コカ・コーラのような清涼飲料水は特に、中産階級の人口が増えることによって、需要が高まります。中産階級になれば、コカ・コーラが飲めるようになるほどにお金に余裕ができるわけです。コカ・コーラの市場の拡大はその流れを捉えています。
◉中産階級はそれを上回る速いペース
◉コカ・コーラを飲む人も増えていく
◉人口増加に沿うように、売り上げが伸びる
◉株価は利益に連動する
↑バフェットの頭の中を勝手に想像してみましたが、コカ・コーラに限らず、『世界的人口増加』は消費関連企業などをチェックする上で、単純なことですがぜひ押さえておきたいポイントです。
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