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ウォルマート(WMT)最新決算、堅調な業績。DXへの取り組みは、ライバルから学んだ!【2-4月/Q1,2025四半期決算】より。

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ウォルマート・インク(NYSE:WMT)は、2024年5月16日に発表された、2-4月/Q1(第1四半期決算),2025で好調な業績を示しました。売上高と営業利益の増加、eコマースの普及、そして効率的な在庫管理により、安定した成長を遂げています。今後の見通しと共に、ウォルマートのDXを通じての成功の要因と戦略について詳しく見ていきましょう。

目次

どんな会社?

Walmart Inc.

  • 創業年: 1962年
  • 設立:1969年
  • 上場年: 1972年
  • ティッカー・シンボル:WMT
  • ビジネス概要: ディスカウントストア、スーパーマーケット、ハイパーマーケットを運営。
    -低価格戦略と広範な商品ラインナップで知られています。
  • セクター: 生活必需品(Comsumer Staples)
  • 時価総額: 約5,423億ドル(6/17)
  • 年間の売上高: 約6,481億ドル(2024年会計年度1月)
  • ライバル企業: アマゾン、ターゲット、コストコ
  • 日本での同業種: イオン、セブン&アイ・ホールディングス
  • 本社:米国アーカンソー州

ウォルマート(WMT)第1四半期決算概要

決算概要

  • 売上高-1,615億ドル(前年同月比+6.0%)
  • 営業利益-68億ドル(同+9.6%)
  • 当期利益-51億ドル(同3.1倍)
  • 調整後EPS(1株利益)-0.60ドル(同+22.4%)

ウォルマートの事業は、大きく3つに分けることができます。それぞれの事業は異なる地域や市場セグメントに焦点を当てており、ウォルマート全体の成長と多様性を支えています。

部門別売上高と概要

ウォルマート U.S.

売上高-1,087億ドル(前年同月比+3.8%)

米国内の店舗事業で、ウォルマートの主要な事業セグメントです。

  • スーパセンター、ディスカウントストア、ネイバーフッドマーケットなど、多様な店舗形式を持つ。
  • 食品、衣料品、家電、日用品、薬品など、幅広い商品を取り扱う。
  • 顧客の利便性を高めるためのオンライン注文と店舗受け取りサービスの強化や、価格競争力を維持するための低価格戦略を展開。

ウォルマート インターナショナル

売上高-298億ドル(同+12.1%)

  • 米国外の店舗事業で、ウォルマートのグローバル展開を支える重要なセグメント
  • カナダ、メキシコ、中南米、アジア、ヨーロッパなど、多くの国や地域に展開。
  • 各国の市場ニーズに合わせた店舗形式を採用し、現地の消費者に合わせた商品ラインナップを提供。
  • 現地のパートナーシップや買収を通じて市場に参入し、各国の消費者のニーズに応じたサービスと商品を提供。

サムズクラブ

売上高-214億ドル(同+4.6%)

  • 会員制の倉庫型卸売店チェーンで、ウォルマートが運営するもう一つの重要な事業セグメント。
  • 食品、家電、家具、衣料品、日用品など、大容量パッケージの商品を提供。
  • 年会費を支払う会員に対して特別な価格で商品を提供し、会員に対する特別なサービスも充実させています。
  • 低価格で高品質な商品を提供し、特にビジネスや家庭の大量購入ニーズに応えています。

これらの3つの事業セグメントが、ウォルマート全体の多様性と収益性を支えており、それぞれの市場で異なる戦略を展開することで、広範な消費者層にリーチしています。

実はウォルマートにとってガソリン販売は、顧客の来店を促進する手段。ガソリンを購入するついでに店舗で他の商品を購入することが期待されます。特にサムズクラブでは、ガソリンの割引が会員制度の重要な利点として機能し、会員維持や新規会員獲得に寄与しています。

eコマースと広告事業の成長

ウォルマートのグローバルeコマース事業の売上高は21%増加。店舗フルフィルメント(受注から配送までの業務=受注、梱包、在庫管理、発送、受け渡し、代金回収までの一連のプロセス全体のこと)によるピックアップ&デリバリー事業およびマーケットプレイス事業が牽引。さらに、グローバル広告事業も24%増加し、特に米国のウォルマート・コネクトが26%増加しました。

在庫管理

全世界の在庫は2.7%減少。特に米国ウォルマートの在庫は4.2%減少しました。これにより、効率的な在庫管理が実現され、財務状況が改善されています。

第2四半期および通年の見通し

ウォルマートは、第2四半期のガイダンスを発表し、売上高は3.5%から4.5%、営業利益は3.0%から4.5%の伸びを見込んでいます。これにより、通年では売上高が3.0%~4.0%、営業利益は4.0%~6.0%の増加が予測されています。

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ウォルマートのDX成功の背景

アマゾンなどECの台頭により、多くの小売業が苦境に立たされています。一方世界最大の小売業であるウォルマートは業績を伸ばし続けています。その理由はデジタルトランスフォーメーション(DX)の成功です。通常、DXの成功事例として挙げられるのはグーグル、アップル、アマゾンなどのデジタルネイティブ企業ですが、ウォルマートのような莫大な数を抱え実店舗を構える小売非デジタルネイティブ企業でも、見事にDXを通じ変貌を遂げているのです。

非デジタルネイティブ企業がDXに成功した理由

ウォルマートがDXに成功した理由は、企業文化の刷新と重要な経営要素のデジタルとリアルの両面での進化にあります。「EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)のウォルマート」から「CX(カスタマーエクスペリエンス)のウォルマート」への変革を大胆に行ったのです。

CXの追求において、デジタルネイティブ企業には一日の長がありますが、非デジタルネイティブ企業が同じミッションを掲げた点こそが重要です。そうです、『地球上で最も顧客を重視する会社を目指す』最大のライバル、アマゾンを目標としたのです。アマゾンのカスタマーセントリック(顧客中心主義)を本当の意味で理解し、取り入れたのがウォルマートだったのです。

カスタマーセントリックとは、顧客のニーズや思考・感情を第一に考えることを意味します。 カスタマーセントリックの考え方では、「企業が何を提供したいか」ではなく「顧客が何を求めているか」を出発点として戦略や施策を決定します。ウォルマートは従来の企業文化を否定し、生まれ変わることを求めたのです。そしてEC事業を買収し、そのトップにウォルマート全体のDXを任せ、自らもDXを学んできました。DXとしてやるべきことを着実に実行してきたのです。

オムニチャンネル化と新たなサービスの導入

ウォルマートの施策として特に目立つのが*オムニチャンネル化や**ストアピックアップサービス。これらのサービスを単に真似することはDXではありません。「販売」ではなくCX(カスタマーエクスペリエンス)を高めることに本気で取り組むための手段とウォルマートは捉えているのです。

*オムニチャネルはさまざまなチャネルを繋ぐことができ、どのチャネルからでもお客さまが意識することなく商品の購入などが行えるようになることを指します。また、**ストアピックアップはスマホアプリから注文した商品を店舗で受け取ることができるサービスを指します。

コロナ禍での迅速な対応と新たなビジネスモデル

2020年には「5年分の成長を5週間で達成」し、それ以降も活発なDXを継続。ウォルマートはCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)に初出展し、コロナ禍での成果を強調。コロナ禍においては従業員の安全と健康を最優先し、サプライチェーンを継続しつつ、社外への支援や新たな雇用を創出しました。また、急増するEC需要に対応し、非接触型サービスを拡充。2020年9月には有料会員制プログラム「ウォルマートプラス(Walmart+)」を開始し、ネットスーパーの当日配送サービスを無制限で利用できるようにしました。

サステナビリティと多様性への取り組み

ウォルマートは診療所事業の「Walmart Health」を進展させ、今後はオンラインとオフラインの両面でヘルスケア事業を展開する計画。気候変動問題への対応としては2017年から「プロジェクトギガトン」を進行中で、2030年までにサプライチェーンでのCO2を累計で1ギガトン(10億トン)削減する方針です。さらに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)にも触れ、「多様性のあるチームが勝ち、インクルーシブ(全てを包みこむ)な環境が成功をもたらす」と強調しています。

顧客中心のビジネスモデルへの再構築

ウォルマートは「カスタマーセントリック」を軸にビジネスモデルを再構築しているのは前述のとおり。ストア、ピックアップ、デリバリー、ウォルマート+の4つの顧客接点を活用し、EC、ヘルス&ウェルネス、金融サービスの3つを軸に顧客との関係を深めています。また、「ウォルマートペイ」を非接触決済システムとして刷新し、これにより顧客のIDと決済データを統合しています。

デジタルで顧客とつながることの重要性

ウォルマートのDXが成功した最大の要因は、デジタルで顧客とつながることを着実に進めた点にあります。顧客をIDで管理し、決済データも収集することで、継続的で良好な顧客関係を築き上げました。これにより、ウォルマートはEC、ヘルス&ウェルネス、金融サービスを一体化したスーパーアプリを形成しています。

「私たちの目標はシンプルです。私たちはお客様にお金と時間の両方を節約していただくことに集中しています。私たちの従業員が、基本的なことを実行すると同時に、私たちとの買い物をより楽しく便利なものにするために革新的な取り組みを行っているのを見るのは刺激的です。私たちは人材主導であり、技術力主導であり、その組み合わせが私たちのビジネスを推進しているのです。」

-ダグ・マクミロンウォルマートの社長兼最高経営責任者(CEO)

株価と配当政策

株価は強い

年明け以降はしっかりと上昇基調。(年初来6/17までの上昇率は28.3%,同期間のS&P500は14.8%)。2月に株式分割(3:1)をしたことも、大きかったと思います。また、単なる小売業ではなく、DXで成功を収め、今後はそのDXを最大限に活かせる立場にいるデジタル企業としての評価を得はじめているのではないでしょうか?

**株価は、各月末の終値です。6/17はその日の終値。チャートにカーソルを合わせると株価が確認できます。単位ドル

51年連続増配

ウォルマートは、51年連続で増配を続けている、財務内容も盤石な優良企業です。顧客中心主義は株主中心主義へと進み、配当政策にも活かされると期待します。

配当利回りの目安

  • 直近配当実績:0.208ドル
  • 年間配当:0.208×4=0.832ドル
  • 株価:67.42ドル(6/17終値)
  • 配当利回り:0.832/67.42ドル×100=1.23%

*手数料、税金は考慮していません。また配当も確定しているものではありません。購入時の株価によって配当利回りは変わります。

まとめ

デジタルで顧客とつながる

ウォルマートが小売のデジタル化を一気に進めました。もの凄いスピードで成長を遂げ、手の届かない存在になっていたアマゾンを徹底的にベンチマーク(目標に)してきました。

ウォルマートが特にベンチマークとしたのが、アマゾンのデジタルネイティブ企業流の顧客中心主義( カスタマーセントリック)です。もちろん、自らを否定するまでの企業文化の刷新にまでウォルマートが成し遂げたことも見逃せません。そしてEC事業を買収し自らもDXを学んできました。

しかし、最も重要なことはデジタルで顧客とつながったことだと思います。ウォルマートらしさや強みを忘れず、それをDXで伸ばしてきたことです。非デジタルネイティブ企業そして、世界最大の小売企業におけるDX成功が現在のウォルマートを築いているのです。

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