先週は、政府閉鎖解除への期待が投資家心理を大きく支えた一方で、AI関連株には高値警戒感が強まり、利益確定売りが広がる局面も見られました。また、経済指標の遅延とFRBによる利下げ姿勢の後退が相場の不透明感を高め、強弱入り混じる一週間となりました。
今週【11/17-21】はこの地合いを引き継ぎつつ、FRB高官の講演とFOMC議事録の内容が相場の方向性を探る展開になりそうです。
今週の見通しと重要スケジュール【11/17-21】
- FRB発言と議事録で相場は振れやすく下値は限定的
- 金利高止まりでテック株は材料待ちの慎重姿勢
- ブラックアウト前のFRB講演が利下げ観測を左右
- エヌビディア決算への期待と不透明感が市場を試す
見通し
今週の米国株は 「FRBの発言と議事録で振れやすいが、下値は限定的」 という展開を見込みます。政府閉鎖解除に向けた安心感が残る一方、利下げ開始時期の不明確さが依然として重しとなり、強弱が交錯するレンジ相場になりやすい環境にあります。
金利変動の動きに敏感に反応する、テクノロジー株の積極的な買い戻しには材料が必要ですし、一方で調整局面での押し目を拾う動きも十分考えられますので、悩ましい局面です。
指標となる、先週末の長期金利(10年国債の利回り)は4.15%と、ここひと月ほどでは、高い水準に位置します。その金利の方向性を決める、FOMC(米公開市場委員会)の年内最後の会合は、12月9-10日。
11月28日(金)からは、*金融政策に関する対外発言を制限される期間(ブラックアウト・ルール)に入りますので、17日からの10日ほどは、FRB理事らの講演等での発言に注目が集まります。
17日と18日に加え、21日にもジェファーソン副議長らFRB高官の講演が控えており、市場は利下げ開始時期の手がかりを探る展開が続く見通しです。
先週の高官の慎重な発言を受け、利下げ確率が後退した後だけに、トーン次第では金利先物が再び敏感に反応することも考えられ、19日に公表される、10/28-29日分のFOMC議事録(最近の物価指標が遅れている状況下で、利下げに必要な条件をどれだけ具体的に議論したかなど)とともに、
マーケットが必要以上に神経質にならないことを願いたいところです。
また、19日に発表のエヌビディア(8-10月期)四半期決算には、大きな期待が寄せられていますが、どんな数字ならマーケットは満足するのかは不透明。
米国株式市場を圧倒的なスピードで、リードとしてきたエヌビディアだけに、ビッグテックをはじめとする、米国企業の膨大な今後の設備投資を裏付けるものであることを期待する市場関係者は多いのですが、果たして・・・。
今週の重要スケジュール
11月
17日(月)・・ジェファーソンFRB議長講演/ウォラーFRB理事の講演
18日(火)・・10月輸入物価指数/10月鉱業生産/ADP週次雇用統計/バーFRB理事の講演
19日(水)・・FOMC議事録(10/28-29日分)
決算発表
11/18-ホームデポ(HD)/メドトロニック(MDT)
11/19-エヌビディア(NVDA)
11/20-ウォルマート(WMT)
20日(木)・・新規失業保険件数/10月景気先行指標総合指数/10月中古住宅販売件数/クックFRB理事講演
21日(金)・・バーFRB理事の講演/ジェファーソンFRB副議長の講演/G20首脳会議(米国不参加表明)
ブラックアウト・ルール
中央銀行の金融政策決定会合前後に、会合参加メンバーが金融政策に関する対外発言を制限される期間。単にブラックアウトと呼ぶ場合もあります。メンバーの発言により、マーケットが先に動いてしまうことを防ぐためで、各国の中央銀行でそれぞれ規則が定められています。ブラックアウト・ルールも同義語です。
適用期間が一番長いのが米国で、連邦準備制度理事会(FRB)関係者が発言を制限されている期間は、連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される前々週の土曜日からFOMC終了時まで。日本の場合は、政策委員会内のルールとして、国会での発言を除き、金融政策決定会合初日の2営業日前から会合終了当日の総裁記者会見終了時までとなっています。
先週のマーケットレビュー【11/10-14】
14日週末、金曜日のマーケット

先週のおさらい
- 政府閉鎖解除への期待が投資家心理を大きく改善
- AI関連の高値警戒感と利益確定売りが相場を圧迫
- 重要指標の遅延と利下げ観測後退で不透明感が強まる
- 関税交渉進展など明るい材料も相場を下支え
ダイジェスト
*日付をクリックすると、その日のマーケットの様子がわかります。
月曜日
エヌビディア<NVDA+5.79%,199.05ドル>
テスラ<TSLA+3.66%,445.23ドル>
・NYダウ+0.81%
・S&P500+1.54%
・ナスダック+2.27%
・長期金利(10年国債利回り)4.12%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●ハイテク株に見直し買い
●政府閉鎖は40日超
-米上院がつなぎ予算案採決に向け前進し、下院でも今週中に採決の見通し。政府閉鎖解除の期待が高まる。
-政府閉鎖による経済への悪影響が深刻化。共和党案には予算と生活保護関連支出が含まれる。
●投資家心理が改善
経済指標の遅延等で、消費者心理は悪化との見方。政府再開をポジティブにとらえる流れに。
●エヌビディア(上記)
TSMCへの増産依頼報道が成長期待を後押し、株価上昇。
●アルファベット<GOOGL+4.04%,290.10ドル>と
●パランティア<PLTR+8.81%,193.61ドル>がハイテク、半導体関連の上昇を主導。
●テスラ<上記>もしっかり。
今週注目した最新決算から
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)

ニューモント(NEM)


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