米国金融市場は9月FOMCでの利下げをほぼ織り込み、フェドウォッチは0.25%利下げの確率が100%としています。
年内に最大3回の利下げとなる可能性も半々に迫るなか、米長期金利は低下基調を示し、株式市場は好調な決算シーズンに支えられて堅調さを維持しています。
しかし、トランプ関税の影響やインフレ再燃リスクが潜在的な懸念材料であり、歴史的に軟調となりやすい9月相場のアノマリーも重なります。今週はCPIやPPIといった物価指標を控え、FRBの次の一手を探る重要な局面を迎えます。
今週の見通しと重要スケジュール【9/8-12】
今週の見通し
シカゴマーカンタイル取引所(CME)が、金利先物の取引の根動きから金融政策を予想するフェドウォッチの最新のデータによると、9月FOMC(米公開市場委員会)による、0.25%利下げの確率は、ほぼ100%。9月を含む10/29までの0.25%×2回が、55%の確率。
さらに12/10までの0.25%×3回の確率が47%となっているようです。この間の経済状況をみながらということになりますが、
9月に利下げは行われ、場合によっては年内合計、0.25%×3回も可能性としては半々だということになります。
米債券市場でも、利下げを読み始めており、長期金利(10年国債の利回り)は、雇用統計の発表があった金曜日には4.07%まで低下してきています。
米国株式市場は、利下げ期待を背景に、多くの米企業が発表を終えた、四半期決算(主に4-6月期)の好調さに支えられて、大きな下落となることはなく、ここまでは、堅調に推移していると言って良いと思います。
しかし、トランプ関税による影響は、月日を重ねるごとに顕在化し、雇用環境、景気を優先するのか(利下げ)、それとも再び、インフレと向き合うのか(金利据え置き)という選択を、FRBが迫られた時のマーケットの反応は、厳しいものになると思われます。
歴史的にみて、1年を通じ、一番悪いパーフォマンスの月である9月というアノマリー(経験則)にあることも気になります。>>NOMURA ウエルスタイル
荒れる展開の日本の国内政治の行方とともに、米国株式市場からの動きからも目が離せません。
今週の重要スケジュール
9月
10日(水)・・8月PPI(生産者物価指数)
11日(木)・・8月CPI(消費者物価指数)/*新規失業保険申請件数
*新規失業保険申請件数とは、失業者が初めて失業保険給付を申請した件数を集計・季節調整のうえ米労働省が毎週(木曜日)発表する米国の主要経済指標で毎週木曜、前週分のデータが発表されます。
12日(金)・・9月ミシガン大学消費者物価指数(速報値)
FRB vs インフレ
デュアル・マンデート
インフレ高進時の利上げ、景気後退時の利下げなど、両目標のバランス取りが、FRB(米連邦制度理事会)金融政策の本質です。FRBのデュアル・マンデート(dual mandate)は、米国の中央銀行である
FRBが法律により義務付けられている二つの使命、すなわち「物価の安定」と「最大限の雇用」を同時に追求することを意味します。
- 物価の安定:インフレ(物価の上昇)が急激にならないようコントロールし、米ドルの購買力を維持する。
- 最大限の雇用:米国経済の失業率が低く、できる限り多くの人々が職に就いている状態を目指す。
法的には1977年の連邦準備改革法に明記されており、FRBは景気・インフレの状況次第で金融政策(金利操作など)を柔軟に調整。たとえば、インフレが進みすぎれば利上げ、失業率が上昇すれば利下げなどで対応します。
他国との違い
多くの中央銀行は「物価の安定」のみを目標にしますが、FRBは雇用も同等に重視するため、市場参加者や投資家は両方の達成度を注視しています。
政策対応の例
2020年春 新型コロナ対応: FRBは緊急利下げと大規模な量的緩和(ゼロ金利政策、資産買い入れ)を実施し、危機対応型の超緩和策を採りました。
2021年~2022年前半: コロナ収束とともに経済活動・消費回復が進み、財政支援の副作用で“40年ぶり”高水準のインフレが発生。FRBは当初「一時的」と判断し対応が遅れますが、インフレ加速を受けて政策転換をせまられました。
2022年3月 利上げ開始: 3年3カ月ぶりに政策金利引き上げ(0.25pt)。以降、0.5pt、0.75ptなど大幅利上げを繰り返し、2023年7月まで計11回の利上げを断行。政策金利は5.25~5.5%と2001年以来の高水準に
資産縮減(QT)並行実施: 利上げと同時に、パンデミック時の資産膨張分(国債・MBSなど)の減額も進め、金融環境の正常化に努めました。
政策金利の推移
FRBの政策金利であるFFレートは、米銀行間で翌日物資金を取引する際の金利を指し、FRBはこの金利の誘導目標を定めて金融政策を調整します。景気過熱時には引き上げてインフレ抑制、不況時には引き下げて景気刺激を行います。
FFレートは、定期的に開かれる、FOMC(公開市場委員会)で決められます。現在のレートは
4.25%-4.50%です。
FOMC開催月 | 幅 | 政策金利(*FFレートの目標誘導レンジ) |
2023年12月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
2024年1月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
3月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
4月/5月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
6月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
7月30-31日 | 据え置き | 5.25-5.50% |
9月17-18日 | ▼0.50% | 4.75-5.00% |
11月6日-7日 | ▼0.25% | 4.50-4.75% |
12月17日-18日 | ▼0.25% | 4.25-4.50% |
2025年1月28-29日 | 据え置き | 4.25%-4.50% |
3月18日-19日 | 据え置き | 4.25%-4.50% |
5月6日-7日 | 据え置き | 4.25%-4.50% |
6月17日-18日 | 据え置き | 4.25%-4.50% |
7月29日-30日 | 据え置き | 4.25%-4.50%←今、ここです。 |
9月16日-17日 | ? | |
10月28日-29日 | ?? | |
12月9日-10日 | ??? |
先週のマーケットレビュー【9/1-5】
5日金曜日、週末のマーケット

先週のおさらい
●財政不安と金利上昇でハイテク株中心に下落する局面も
●雇用指標低調で景気減速懸念と利下げ観測台頭
●ISM改善で安心も、週末発表の雇用統計悪化で売り拡大
●不安定ながら主要3指数は一時最高値を更新
ダイジェスト
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月曜日
*レイバー・デーの祝日のため、米国市場はお休み
今週noteした米企業決算より↓手術ロボットダビンチ好調!↓インテュイテイブサージカルとは?↓

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