金利上昇と米中貿易戦争が引き続き、不安材料
米国の中間選挙を終え、米国市場は方向性を失いつつあるかもしれません。選挙直後こそ、「想定内の結果」と安心感が広がり反発する場面もありましたが、金利上昇懸念、米中貿易戦争の行方など、くすぶり続ける難題が、マーケット上昇の頭を抑えています。
大盤振る舞いの財政政策に歯止めがかからないと・・
民主党が下院で多数派となったことで、共和党トランプ政権の目玉政策「中間層10%減税」の実現の可能性がほぼなくなり、「財政支出が抑えられる→国債の増発をしなくていい→長期金利の上昇(債券が売られる)も抑えられる」というシナリオ?で、11月7日の米国10年国債の利回りは、いったん3.176%に低下しました。ところがその後、今度はトランプ政権と民主党との協調路線が報じられると、インフラ(道路など社会資本)投資増加への期待が膨らみ、結局財政悪化につながると、3.237%までに上昇して取引を終えています。(11/9の先週末は、3.186%。高値3.236%)
10/9に、3.25%までの上昇をきっかけとして、NYダウが10日、11日の2日間で1400ドル近く下落したことを考えると、絶好調の雇用状況を背景に、FRBによる利上げもかさなり、金利が上昇、再度株価の下落を引き起こすことも十分考えられます。
米中貿易戦争で、中国は時間稼ぎ?
もうひとつの難題である、米中の貿易戦争は、解決のめどがたたず、混迷を深めています。中国側から見れば、今回の選挙結果をトランプ政権の弱体化ととらえ、交渉を長引かせることで、有利に持っていきたいという思惑が働いても不思議ではありません。なにせ、習近平体制は、終わることはないのですから。ただ、短期的は、中国企業と中国に依存する他国企業に与える影響は、決して小さなものではなく、上海総合指数の下落を誘う大きな要因になり、さらには世界の株式市場、そして米国市場をも揺るがすことになりかねないと考えます。米国株式市場の下落が日本の株式市場に、リンクすることは言うまでもありません。
最良の6ヵ月
米中間選挙終了後の、展開を3回に分けて解説、予想してきました。ところで、政治による一喜一憂からは、距離を置き、中長期的に考えるならば、「Sell in May/セル・イン・メイ(5月に株を売れ)(株式投資の格言のひとつ)」の反対にある、11月以降の株式投資に最良とされる、6ヵ月を迎えるのはこれからです。日米の株式市場の押し目を丹念の拾うのも、歴史が教えてくれる、教訓です。
コメント