2025年1-3月期の米GDP成長率がまさかのマイナスに。
スマホなどの駆け込み輸入と政府支出の抑制が影響し、景気の減速懸念がじわり。
一方で、AI需要を背景にしたマイクロソフトやメタの積極投資は続いており、明るい材料も。
インフレ指標が落ち着きを見せる中、「そろそろ利下げ?」と市場は期待モード。
9日続伸した株式市場が物語るのは、利下げを後押しする空気感。
そんな中、注目のFOMCが今週開催。パウエル議長は何を語るのか?
米株の今後を占うカギが、ここにあります。
目次
今週のマーケットの見通しと重要スケジュール【5/5-5/9】
見通し
2025年第1四半期(1-3月期)の実質GDP成長率(速報値)は、年率換算で前期比マイナス0.3%
と予想を下回る結果。マイナスの要因は、関税引き上げ前の駆け込み
輸入増(スマトーフォンなど)による、純輸出の赤字拡大(輸出<輸入)と
トランプ政権による政府支出の減少が上げられています。政府支出が抑えられたのは、
イーロン・マスクテスラCEOがリーダーを務めるDOGE(政府効率化省)による
政府業務縮小の動きとウクライナへの支援停止等の国防費の
支出削減の影響が指摘されています。
GDPの最大項目の個人消費は同+1.8%と前期(10-12月期)からは
落ち込んだものの、堅調を維持。さらに民間部門の設備投資にいたっては
同+9.8%と強い数字。これは、マイクロソフトやメタなどの
ハイパースケーラー(大規模で高い拡張性を持つクラウドサービスやデータセンターインフラを提供する企業)
が、AI利用の需要拡大を見込み、継続したことが大きな要因とされています。
30日に発表されたFRBが重視する、インフレ指標のPCEコアデフレータでは、
2.6%と落ち着きを見せたり、週末の4月雇用統計は予想を上回る労働市場の強さを確認
するなど、実質GDP成長率とあわせ、経済指標の強弱が対立する1週間でした。
利下げ催促?のマーケット
それでも、GDPの成長率がマイナスとなり、インフレが落ち着いているとなれば、期待されるのは
景気が落ち込まないようするための利下げです。先週、NYダウとS&P500が9日連続で
続伸したのは、市場に利下げを催促する気運が高まっていることのあらわれだする見方が増えています。
その、政策金利を決めるFOMC(6日-7日)が今週開催。今回は据え置きとみるのが大勢ですが、
重要経済指標の発表受けた、パウエル議長の会見に注目が集まります。年内の利下げ回数
を予想し、利下げを催促する市場がどのように反応するのか、
今後のマーケット占う重要な週になると個人的には見ています。
実質GDP成長率(速報値)
米商務省経済分析局(BEA)が四半期ごとに公表するGDP統計の
「1次速報値」(advance estimate)は
米国経済の成長動向を迅速に把握するための最初の公式発表です。
速報値は、当該四半期の2~3か月分の統計データを基に推計。
ただし、3か月目のデータは未確定や推計値が多く、
入手できない部分はBEA独自の予測やトレンド補完が用いられ、
GDPは、個人消費、設備投資、住宅投資、在庫投資、政府支出、
純輸出(輸出-輸入)などから構成されています。
今週の重要スケジュール
5月
5日(MON)
4月ISM非製造業景況指数
フォード・モーター(F)
6日(TUE)
3月貿易収支
アーチャー・ダニエル・ミッドランド(ADM)
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
7日(WED)
FOMC開催(6日-7日)
パウエル議長会見
ウォルト・ディズニー(DIS)
ウーバー・テクノロジー(UBER)
メルカドリブレ(MELI)
バリック・ゴールド(GOLD)
アーム・ホールディングス(ARM)
8日(THU)
新規失業保険申請件数
1-3月期非農業部門労働生産性、単位人件費(速報値)ピンタレスト(PINS)
ショッピファイ(SHOP)
9日(FRI)
連銀理事、FRB理事講演(レイキャビグ経済会議)
先週のマーケットレビュー【4/28-5/2】
5月2日週末のマーケット
先週のおさらい
ポイント
- エヌビディア株が中国企業との競争懸念で下落し、相場の重荷に(週初)
- トランプ政権のインドや日本との貿易交渉進展期待が相場を下支え
- PCEコアデフレーター鈍化でFRB利下げ観測が強まる
- マイクロソフト・メタは好決算で上昇、アップルは慎重見通しで下落
- 雇用統計が予想上回り、労働市場の底堅さが確認された(週末)
ダイジェスト
*日付をクリックすると、その日マーケットの様子がわかります。
月曜日
エヌビディア<NVDA▼2.05%,108.73ドル>
テスラ<TSLA+0.33%,285.88ドル>
・NYダウ+0.28%
・S&P500+0.06%
・ナスダック▼0.10%
・長期金利(10年国債利回り)4.21%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●米国と貿易相手国との関税交渉進展への期待
一方で、AI向け半導体市場における中国企業との競争激化懸念からエヌビディア株が売られ、相場の重荷に。
●2025年1〜3月期決算発表予定
・4/30-マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ
・5/1-アップル、アマゾン
を控え、関税影響見極めようと、慎重姿勢の投資家
●ベッセント米財務長官
CNBCのインタビューで「インドが最初の取引先になる可能性」を示唆。交渉進展により関税緩和と世界経済への影響軽減期待が広がる。ただ、中国との摩擦解消は「中国次第」として不透明感も。
●エヌビディア(上記)下落
ファーウェイが同社製品を代替可能なAI向け半導体を開発中と報じられ、業績への影響を警戒。
火曜日
エヌビディア<NVDA+0.27%,109.02ドル>
テスラ<TSLA+2.15%,292.03ドル>
・NYダウ+0.75%
・S&P500+0.58%
・ナスダック+0.55%
・長期金利(10年国債利回り)4.17%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●米国の関税交渉進展への期待
相場を下支えし、決算発表銘柄への買いも指数を押し上げ、NYダウとS&P500は6日続伸、昨年7月以来の連騰。
●ベッセント米財務長官
貿易合意が近いインド、実質協議中の日本と発言。
●ラトニック商務長官
「一つの合意成立」と述べ、市場に安心感。
●トランプ政権
米国内生産車に使う部品の関税一部免除措置の発表は、強硬姿勢の緩和と市場は受け止める。一方、
●4月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)
86:<市場予想87.5,3月93.9>下回り、相場の重荷となる場面も。
●決算発表前のビッグテック、M7はしっかり。
-マイクロソフト<MSFT+0.74%,394.04ドル>
-メタ・プラットフォームズ<META+0.85%,554.44ドル>
-アップル<AAPL+0.51%,211.21ドル
水曜日
エヌビディア<NVDA▼0.09%,108.92ドル>
テスラ<TSLA▼3.38%,282.16ドル>
・NYダウ+0.35%
・S&P500+0.15%
・ナスダック+▼0.09%
・長期金利(10年国債利回り)4.16%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●3月PCEコアデフレーター(FRBが重視するインフレ指標)
-前年比2.6%(予想2.6%,2月3.0%)横ばいは予想外?
-前月比0.0%(予想0.1%,2月0.5%)
●FRBの早期利下げ観測が強まる。
「インフレ落ち着き。(週末に雇用統計発表あり)労働市場が大幅に軟化すれば5月会合での利下げもありうる」の見方も
●株式市場
月末の資産再配分による買いも加わり、終盤に上昇幅を拡大、買い優勢。NYダウ,S&P500は7日続伸
●1-3月期の米GDP速報値
市場予想を下回るも、設備投資や個人消費は底堅く「景気は健全」との見方。GDP内容悲観せずとの声がありました。
●マイクロソフト<MSFT+0.31%,395.26ドル>
取引終了後決算発表。売上高、EPS(1株利益),インテリジェント・クラウドの売上高とも予想を上回り時間外で取引で6%超の上昇
●メタ・プラットフォームズ<META▼0.98%,549ドル>
同じく取引終了後決算発表。売上高、EPSとも予想を上回り、5%超上昇の時間外取引。
木曜日
エヌビディア<NVDA+2.47%,111.61ドル>
テスラ<TSLA▼0.58%,280.52ドル>
・NYダウ+0.21%
・S&P500+0.63%
・ナスダック+1.52%
・長期金利(10年国債利回り)4.22%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●NYダウとS&P500は8日続伸
●マイクロソフトやメタ(下記)等の主力ハイテク株が決算を受けて上昇。米政権の関税懸念が後退し、ハイテク株に安心感。
●4月ISM製造業景況感指数
48.7(市場予想48,3月49)景気不安を過度に強める内容ではなく、投資家心理を支援。ただ、
●利益確定や先行き不透明感から伸び悩む。新規失業保険申請数も市場予想を上回り、慎重姿勢が広がる。
●雇用統計発表(2日)を控え、様子見ムードも。
●アップル<AAPL+0.39%,213.32ドル>
取引終了後、1-3月期決算発表。注力のサービス部門と中国の売上が予想を下回り、時間外取引では下落。
●アマゾン<AMZN+3.13%,190.20ドル>
取引終了後、決算発表。1-3月期決算、全体の売上高は予想を上回るも、AWSに伸び悩み?で時間外取引は下落。
●マイクロソフト<MSFT+7.63%,425.40ドル>
1-3月期決算市場予想上回り、次期4-6月期見通しも好感され株価上昇。クラウド部門「アジュール」が好調で、目標株価引き上げも相次ぐ
●メタ<META+4.23%,572.21ドル>
メタも1-3月期決算と見通しが予想を上回る。
金曜日
エヌビディア<NVDA+2.59%,114.50ドル>
テスラ<TSLA+2.38%,287.21ドル>
・NYダウ+1.39%
・S&P500+1.47%
・ナスダック+1.51%
・長期金利(10年国債利回り)4.31%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●NYダウとS&P500は9日続伸。
米中協議進展への期待が投資家心理を支え、貿易摩擦の緩和観測が背景。
●4月米雇用統計
-非農業部門雇用者数:前月比+17.7万人(市場予想+13万人)
-失業率:4.2%(予想4.2%,3月4.2%)
-平均時給:前月比0.2%(市場予想0.3%)
非農業部門の雇用者数が市場予想を上回り、労働市場の底堅さが買いを誘う要因に。
●中国商務省は米国からの交渉打診を認める
フェンタニル問題などで対応検討と報道。関税引き下げ交渉への期待感も。
●アップル<AAPL▼3.74%,205.35ドル>
好決算ながら、関税懸念や慎重な見通しで株価下落。
●マイクロソフト<MSFT+2.32%,435.28ドル>と
●メタ<META+4.34%,597.02ドル>1-3月の決算で、AI投資の勢いが確認され上昇。他のハイテク・半導体株買いにもつながりました。
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