今週の米国株式市場は、ダウ工業株の動きと経済指標の発表が注目されました。特にインフレ圧力と米長期金利の上昇が市場に大きな影響を与えています。この記事では、エヌビディアやテスラといったハイテク株の動向と、インフレ指標が市場の今後にどう影響するかを簡潔に分析します。
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目次
今週の米国株式市場:インフレとハイテク株が描く未来
今週のポイント
今週のポイント
- 経済指標からインフレへの不安が再燃
- 利下げ先送り観測が高まる中、米長期金利の指標、10年債利回りが一時4.31%台後半まで上昇。
- 金利上昇で特に半導体関連、ハイテク株の重しに。
- FOMC(3/19-20)を控え様子見と警戒感。
- 日銀の金融政策決定会合(18-19)でのマイナス金利解除は織り込みずみ?
主要指標の動き
主要指標 | 3/15 | 3/8 | 騰落率 |
NYダウ | 38,714.77 | 38,722.69 | ▼0.02% |
S&P500 | 5,117.09 | 5,123.69 | ▼0.13% |
ナスダック | 15,973.17 | 16,085.11 | ▼0.70% |
ドル/円 | 149.05 | 147.07 | |
米国10年国債利回り(%) | 4.31 | 4.08 |
トピックス
11日 MON
- 2月の米消費者物価指数(CPI)発表を前に様子見ムードが強く、市場は方向感に欠ける展開。
- 市場動向:ディフェンシブ株や一部の消費関連銘柄が買われ、半導体やハイテク株が売り。
- 2月の消費者物価指数CPI、卸売物価指数(PPI)、小売売上高の発表予定。
- 根強いインフレ圧力や消費減速の警戒感。
- インフレ鈍化や消費の底堅さによる投資家心理の支援も意識したマーケットの動きか
- ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)ナイキ(NKE)ウォルト・ディズニー(DIS)などの業績不透明感がある銘柄や出遅れ感のある銘柄が買われる。アップル(AAPL)やインテル(INTC)も上昇。
- エヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、メタプラットフォームズ(META)などが下落。
- ボーイング(BA)が1月のアラスカ航空事故を巡る米司法省の捜査報道後、下落しNYダウの重荷に。
12日 TUE
- 半導体株の上昇が市場心理を改善へ。
- 2月の米消費者物価指数(CPI)の予想を上回る
- 米長期金利の4.15%まで上昇。「米連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始への自信を深める内容ではなかった」との市場関係者の声も。米長期金利が4.15%台にまでに上昇。
- エヌビディアが7%以上上昇、利益確定売りによる2日間の下落から回復し、市場に安心感を提供。
- AMDやクアルコム(QCOM)も上昇。ダウ構成銘柄のマイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)アップルも高い。
- 一方で2月CPIが市場予想を上回り、インフレ圧力の根強さを示す。米長期金利の上昇が株式の割高感を意識。
- スリーエム(MMM)、IBM、ウォルマート(WMT)が上昇。ボーイングは航空機の納入遅れ懸念で大きく下落。
- ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発。
- S&P500種株価指数も3営業日ぶりに反発、終値ベースでこの日までの過去最高値(5172.27ポイント )で終了。
2月のCPI(消費者物価指数)
- 前年比3.2%(予想3.1%,1月3.1)
- 前月比0.4%(予想0.5%,1月0.3%)
- “食品・エネルギーを除くコア”前年比3.8%(予想3.7%,1月3.9%)
今週のポイント
- 経済指標からインフレへの不安が再燃
- 利下げ先送り観測が高まる中、米長期金利の指標、10年債利回りが一時4.31%台後半まで上昇。
- 金利上昇で特に半導体関連、ハイテク株の重しに。
- FOMC(3/19-20)を控え様子見と警戒感。
- 日銀の金融政策決定会合(18-19)でのマイナス金利解除は織り込みずみ?
13日 WED
- NYダウ小幅に3日続伸。
- 前日発表の2月CPIを受け、FRBの年内利下げ予測に変化なし。
- ハイテク株中心の物色から中小型株にも買いが広がる。
- 長期金利が前日終値を上回る4.1%台後半で推移。エヌビディア下落し市場心理が多少悪化。
- 14日に卸売物価指数(PPI)と小売売上高の発表。次週のFOMCで、金融政策判断に影響する経済指標に注目。
- マクドナルドは低所得層消費動向の懸念で売られ、インテルは先端半導体の補助金取りやめ報道で4%安。
- またテスラが投資判断引き下げで5%弱下落、半導体株全般が売られる。
14日 THU
- NYダウは4営業日ぶりに反落。2月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り、米長期金利の上昇が重荷に。
- 2月PPIは前月比上昇率0.6%と市場予想(0.3%)を上回る。エネルギー・食品を除くコアも市場予想上回る。
- 米長期金利:4.3%近辺に大きく上昇。
- 米原油先物WTIが一時は1バレル81ドル台半ばと昨年11月以来の高値を記録。原油高がインフレ抑制の足かせになるとの見方も。
- 2月の米小売売上高は前月比0.6%増と、市場予想(0.8%増)に届かず。インフレの根強さと消費の伸び悩みが景気減速への懸念をもたらす。
- 個別銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、IBM、ハネウェル・インターナショナル(HON)が下落。
- ナイキ等の消費関連株に売りも、マイクロソフトが2%強の上昇。アマゾン・ドット・コムやアップルも高い。
- 原油高を受けシェブロン(CVX)買われる。
- エヌビディアが3%強の下落からアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やマイクロン・テクノロジー(MU)などの半導体株も連れ安ネイ。テスラ(TSLA)はアナリストによる目標株価の引き下げで目立つ下げ。
2月のPPI(生産物価指数)
- 前年比1.6%(予想1.2%,1月1.0%)
- 前月比0.6%(予想0.3%,1月0.3%)
- “食品・エネルギーを除くコア”前年比2.0%(予想1.9%,1月2.0%)
- “食品・エネルギーを除くコア”前月比0.3%(予想0.3%,1月0.5%)
15 日 FRI
- 15日のNY市場はダウ平均が190.89ドル安の38,714.77ドルと続落して、週末を迎えています。
- ナスダックは3日続落の155.35ポイント安の15,973.18で終了。
- 長期金利、10年国債の利回りは2月27日以来の高水準を記録、利回りは4.3%台へ。
- アドビ(ADBE)の決算発表による下落やインフレ改善の停滞により、売りが優勢。
- トリプルウィッチングの影響もあり、テクニカルな売りも見られ、終日軟調。
- セクター別では、銀行や自動車部品が上昇した一方、ソフトウェアサービスが下落。
- 原油先物相場は3日ぶりに反落し、金先物相場も続落した。
ドル円4日続伸!日銀の金融政策見通しに注目が集まる中、円安・ドル高の流れは続く?
各市場の週末の動き:
ドル円は4日続伸。今週発表された米物価指標がインフレ圧力の根強さを示したことで、米利下げ先送り観測が高まる中、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.3182%前後まで上昇。日米金利差を意識し
た円売り・ドル買いが優勢となり、一時149.17円の高値(ドル高、円安)に。 複数のメディアが「日銀が来週18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利を解除する見通し」と報じ、日銀の政策修正観測は一段と
強まりましたが「政策修正は織り込み済み」との見方から円買いでの反応は限定的。「日銀はマイナス金利解除後も緩和的な金融環境を維持する」との思惑から円売りが出やすい面もあるようです。
AI関連企業への期待はまだまだ続く
エヌビディアの活躍があり、半導体関連を中心にハイテク株がマーケットの上昇をリードしてきましたが、ペースが速かっただけに、ネガティブなニュースには、神経質にならざるを得ない状況です。それでも、生成AIに関係するニュースや新サービス登場へのマーケットの反応を見るたびに、半導体、ハイテク関連企業への期待は膨らみます。
今週の【3/4-8】米国株価動向、半導体株指数(SOX)も過去最高値を更新!AI関連に期待感続くも、エヌビデ…
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