4月に始まった「関税休戦」は、期待とは裏腹に進展が乏しく、
むしろ新たな関税強化?の動きが市場に不安をもたらしています。
一方で、第3四半期(7-9月期)には政策の方向性が見えることで、
不確実性、不透明感の解消や減税法案の進展が経済の追い風となる可能性も。
米国経済の行方を左右する分岐点が近づいています。
今週の見通しと重要スケジュール【6/9-6/13】
見通し、マーケットナビ
政策決定やその経済効果、政策担当者の不明確さなど、経済政策に関する不確実性の高まりを
新聞報道の頻度を通じて可視化する、
*EPU(=Economic Policy Uncertainty Index,経済政策不確実性指数)によると、
トランプ関税に影響により、米国の過去最高水準にあるようです。
中国をはじめとする、米国との貿易を行う国々は、最終的な落とし所を模索する中、
不確実性、不透明感がマーケット全体を覆ってきたのが、2025年のこれまでの
動きでした。しかし、その不確実性のマーケットもいよいよ、終わりを迎えよう
としていると思います。その理由は、関税の延長の期限を終え、方向性がはっきり
見えてくるとされる、第3四半期(7-9月)になるからです。
マーケットは予期せぬことを、最も嫌います。7月上旬に関税が実際に行われ、
その結果がある程度わかってくれば、不透明感も少しずつ消え、
慎重になっていた企業、業績予想、そして投資家の動きも落ち着きを取り戻す
と考えるためです。さらには、このブログでも何度か指摘しましたように、
5月に下院を通過したトランプ政権の目玉法案の成立する可能性です。
個人向けの減税延長やチップ・残業代の非課税化、企業の設備投資に対する優遇措置など、
米国経済の後押しとなりうる内容を多く含んでいます。
上院では野党との攻防が予想され、修正の可能性もあるでしょうし、
法案の成立はまだ道半ばにあるかもしれませんが、注目すべきは、
この法案が「債務上限の引き上げ」規定も含んでいる点です。
米財務省はすでに「8月には資金が尽きるかもしれない」と警鐘を鳴らしており
夏の議会閉会前に何としても決着をつける必要があります。(こうした背景もあり
債券市場では金利が高止まりしており、これは米国債の信用リスクが意識されている表れ
でもあるのですが)、いつもギリギリ可決される「債務上限問題」がクリア、イコール
減税延長等の政策成立と考えると、マーケットの上昇をサポートする大きな
要因が(6月中は厳しいかもしれませんが)、今後控えていることになります。
もしこの法案が無事に通り、債務上限問題にも目処が立てば、
金利上昇の傾向は和らぎ、株式市場は、大きなアドバンテージを得ることになり
ますが、はたしてどうでしょうか?
経済政策不確実性指数(Baker, Bloom, & Davis Economic Policy Uncertainty Index, EPU指数)
政策決定やその経済効果、政策担当者の不明確さなど、経済政策に関する不確実性の高まりを新聞報道の頻度を通じて可視化。世界金融危機や大統領選挙、など政策リスクが高まる局面で指数が急上昇する傾向があります。VIX(恐怖指数)等他のマクロ経済不確実性指標とも相関があり、企業の投資行動や市場の動向分析にも活用されています。詳しくはこちら
重要スケジュール
6月
9日(月)・・国・地域別「相互関税」停止期限まで1か月(7月9日)
対EU「50%関税」発動期限まで1か月
11日(水)・・5月CPI(消費者物価指数)
オラクル(ORCL,2025会計年度/第4四半期)
12日(木)・・5月PPI(生産者物価指数)
アドビ(ADBE,2025会計年度/第2四半期)
13日(金)・・6月ミシガン大学消費者物価信頼感指数(速報値)
EU、対抗措置(米国関税)停止期限まで1か月
*企業名は決算発表日です。
先週のマーケットレビュー【6/2-6/6】
6日週末金曜日のマーケット

先週のおさらい
・引き続き関税への対話期待と対立強化が交錯するマーケット
・トランプ大統領と中国習主席の電話協議(5日)、前向きな結論と大統領
・次週9日に米財務、商務長官出席の上、中国との閣僚クラス協議予定
・イーロン・マスク氏とトランプ大統領の応酬が一段落
・5月雇用統計、予想を上回り労働市場の悲観的な雰囲気を払拭。市場は反発し、週末をむかえています。
ダイジェスト
*日付をクリックすると、その日のマーケットの様子がわかります。
月曜日
エヌビディア<NVDA+1.67%,137.38ドル>
テスラ<TSLA▼1.09%,342.69ドル>
・NYダウ+0.08%
・S&P500+0.41%
・ナスダック%+0.67
・長期金利(10年国債利回り)4.44%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●関税への対話期待と対立強化?が交錯するマーケット
●レビット米大統領報道官
トランプ大統領と中国の習主席が週内にも協議する可能性が高いと発言。
●ロイター
貿易相手に4日までの最善提案を要求と報道。交渉進展観測が広がる。一方、
●トランプ大統領
5月30日鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げを表明。EUが報復措置を示唆。関税政策への懸念も根強く続く。
●ボーイング<BA+2.0%,211.47ドル>
アナリストの投資判断引き上げで、上昇
●メタ<META+3.62%,670.90ドル>反発
●ブロードコム<AVGO+2.74%,248.71ドル>エヌビディア決算の堅調さが半導体関連の上昇をサポート。
今週まとめた、最新決算企業!⇩


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