今週の米国株式市場は、FOMC会合をはじめ、重要な経済指標やテック大手の決算発表が重なり、相場のボラティリティ(変動幅の動き)が一段と高まる見通しです。利下げ観測がくすぶるなか、インフレや雇用の最新データ、
さらにAI関連で注目を集めるマイクロソフトやメタ、アップル、アマゾンの決算内容が投資家心理を大きく左右する一週間となりそうです。
今週の見通しと重要スケジュール【7/28-8/1】
見通し
今週の米国株式市場は、FOMC(米連邦公開市場委員会)会合を筆頭に、重要経済指標やテック大手の決算発表が相次ぐため波乱含みの展開が予想されます。
まず7月29-30日のFOMCでは、政策金利据え置きが大方のコンセンサスです。インフレ(特に通商政策や新たな関税の影響)への警戒感が続く中で、FRB内でも年内利下げへの意見が分かれているところです。
労働市場の減速や物価の先行不透明感から、市場は9月以降の利下げ観測に注目。パウエル議長の会見でも、現状維持姿勢とともにインフレや今後の政策方針へのヒントが焦点になると思われます。
経済指標では、30日の第2四半期GDP速報値や31日の6月PCEコアデフレーター発表が相場を動かす材料となります。GDP成長率は前期比年率1.5%前後と減速が見込まれており、インフレもコアPCEで前年比2.7%程度と高止まりの予想。8月1日の雇用統計も労働市場の「冷え込み」が確認されれば、金融政策転換期待を高める要因となります。
強いインフレ指標は、利下げ期待を遠のかせ、弱い景気・経済指標は早期利下げ期待へとつながるのは、特に米国株式市場の近年?の特徴となっています。
企業決算では、マイクロソフト・メタ(30日)、アップル・アマゾン(31日)のマグニフィセント・セブンのうち4社、IT大手の動向が注目されます。マイクロソフトはAIとクラウド収益の大幅増で市場予想を上回り、メタもAIによる広告やサービス収益が好調とされています。
アップルやアマゾンも売上・利益の成長が続く見通しですが、一方で、ハード需要や新サービスへの評価、米中対立・関税などの不確実性がリスク要因として捉えられています。
ただ、日本との交渉進展をきっかけに、米国の関税政策が他国と交渉に向け、解決の方向に進むという期待、つまりこれまでマーケットを取り巻いていた、「不確実性」「不透明感」を振り払われつつあることは、マーケット全体には良い傾向として働くものと思われます。
以上のように来週は、S&P500とナスダック過去最高値水準での高値警戒感に加え、重要な中央銀行イベント・経済指標・主力株決算集中と、市場は神経質な展開が続く公算が大きいと考えます。
金融政策と実体経済、そして「AIブーム」の持続性が引き続き市場の注目材料となります。
今週の重要スケジュール
7月
- 29日:FOMC開催(30日まで)
- 30日:4-6月米GDP速報値,パウエルFRB議長会見
マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ四半期決算 - 31日:6月PCEコアデフレーター
アップル、アマゾン・ドット・コム四半期決算
8月
- 1日:7月雇用統計-非農業部門雇用者数/失業率など
先週のマーケットレビュー【7/21-25】
25日週末金曜日のマーケット

先週のおさらい
ポイント
●S&P500とナスダックが連日で過去最高値を更新
S&P500は初の6,300ポイント台、ナスダックも21,000ポイント台に到達。米経済への楽観やハイテク株買いが相場をけん引。
●米国と日本との通商交渉の進展が投資家心理を下支え
EUやその他の国々との交渉も期待。一方で、関税協議の不透明感も相場の重しとなる場面がありました。
●企業決算が相場を左右
ベライゾンやアルファベットが好決算を発表する一方、テスラやインテルは予想を下回り株価が下落。
●米長期金利は4.3%台で推移。
米国長期金利(10年国債の利回り)低下により株の割高感が和らぎディフェンシブ株などに資金が向かう場面も。
ダイジェスト
*日付をクリックすると、その日マーケットの様子がわかります。
月曜日
エヌビディア<NVDA▼0.60%,171.38ドル>
テスラ<TSLA▼0.35%,328.49ドル>
・NYダウ▼0.04%
・S&P500+0.14%
・ナスダック+0.38%
・長期金利(10年国債利回り)4.38%
*株価、指数等は終値。(+↑上昇)(▼↓下落)は前日比です。
●S&P500,今年10回目の過去最高値更新
初6,300ポイント台:高値6,336.08/終値6,305.60
●ナスダック6日続伸で連日の最高値更新
こちらも初の21,000ポイント台
高値21,077.37/終値20,974.18
●米国とEUの貿易交渉に対する不透明感が相場の重荷に。EUが追加譲歩を迫られた場合の対抗措置を検討との報道で懸念が拡大。一方
●企業決算への期待
ハイテク株の一部に買いが入る
●米長期金利は4.3%台に低下し、株の割高感がやや緩和。
●ベライゾン好決算<VZ+4.04%,42.49ドル>
売上高が市場予想を上回る。携帯端末の好調な販売。通期の収益見通しも引き上げへ。
テスラとアルファベットの最新決算!↓


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