もう少し、NYダウについて深掘りして、調べてみましょう。
ニューヨークダウが注目され続けるわけとは
米国株式市場の動きを把握するのに、最も定番で人気のあるニューヨークダウ。重要な株価指数として、個人投資家をはじめあらゆる分野に関わる人々から、注目されています。なぜなのでしょうか?それは、
- 産業構造の変化を捉えた、影響力のある30の企業を厳選して、構成されている指数
- 下落しても回復し、長期にわたって成長を続けている
からだと思います。
変化を先取りした、企業を選択
構成企業(銘柄)を選ぶときに定量的なルールはないようですが、
- 確立された定評
- 持続的に成長し続けていること
- 投資家が高い関心を示す企業であること
- 米国で創立し、本社を構えていること
- 業種おける代表性(適切な業種配分が維持できること)
など、ずいぶんと抽象的?な感じがしますが、この基準をもとに30の企業(銘柄)が厳選されます。また、入れ替えの基準(タイミング)を見ると、
構成銘柄が買収合併等によって大きく変化するときなどに入れ替えが検討され、その時は、当該銘柄のみではなく、構成銘柄全体を検討するとされています。
アップルの株式分割
一番最近の例では、2020年8月に3銘柄の入れ替えが行われています。7月にアップルの株式分割が発表されており、それにともなうテクノロジーセクターの構成比率低下を考えての入れ替え措置と言われています。
ニューヨークダウは、産業構造の変化を捉えた企業を取り入れ、持続的成長を成し遂げてきた指数とはいえ、元々製造業、金融、エネルギーといった「オールドエコノミー」の比率が高い指数。アップルの分割(4:1の株式分割)によって、アップルの構成比が1/4に低下することで、そうした傾向がさらに強まる情勢でした。
コロナ禍等の厳しい環境でも成長が期待できる、ハイテク、クラウド、バイオテクノロジーの分野から選ばれたのがセールスフォース、ハネウェル、アムジェン3つであり、除外されたのがエクソン、ファイザー、レイセオンの3企業でした。
この入れ替えのおかげで、アップル分割によるIT関連のウェイト低下を避け、ハイテク、バイオ銘柄の多いナスダック指数とのより大きな差が出ないような対策ができたとされています。
平均株価が意味すること
ニューヨークダウを調べてみて不思議に思ったのは、株価をどのように計算して、指数化しているのかということでした。というのも、30の企業のどの株価をチェックしても、1000ドル以上のものがない?ましてや30,000ドルなんて?ない!それなのに、何故日々、30,000ドル台で一喜一憂しているのでしょうか?
30企業の株価の合計は・・・
エクセルのシートにNYダウに採用されている企業の株価を打ち込み、合計すると、5239.58ドルでした(5/28 終値)そして、それを30で割ってみると174.65ドル。どのようにしたら、NYダウのこの日の終値34,529.45ドルになるかというと除数というものがあるのがわかりました。
平均株価(指数値)=全構成銘柄の株価合計➗除数 これを、5/28に当てはめると
34,529.45=5239.58÷x
x=0.15174235326 この日の除数がわかりました。
除数
NYダウ(平均株価、指数)は、もともと構成銘柄数を除数とする構成銘柄株価の単純平均だったそうです。それが、現在では連続性を確保するために株式分割などの株価変化を調整した除数が用いられているとのこと。なるほど・・・
ちなみに、5/28のNYダウ構成銘柄の株価トップ3は、
- 1位ユナイテッドヘルス・グループ 411.92ドル
- 2位ゴールドマン・サックス 372.02ドル
- 3位ホーム・デポ 318.91ドル
除数を使うと言っても、株価合計が高くなると、指数も上がることには変わりないので、その日の株価が大きく動いた銘柄や元々株価の高い銘柄の影響を受けやすいことになります。NYダウの指数は、株価平均型と言われますが、日経平均株価も同じであることはその名前からわかると思います。
堅調に上昇を続けるNYダウ
チャートは語る
過去5年のNYダウの動きを表している、チャートです。中央銀行の金融政策の変更、景気の落ち込み等を理由に、米国株式市場が調整を余儀なくされることは、これまでの上昇過程の途中でも多くありました。しかし、厳選された30の企業、ニューヨークダウが大きく下落した後も、見事に回復していることに注目すると、見方が変わってくるでしょう。
大きく下落した時こそ、それだけ運用成果をあげるチャンスが広がることを、長期投資の立場から教訓としたいと思います。
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