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確定拠出年金 Q&A 34(投資、資産運用の基本①)

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人は、常に合理的に行動しているわけではない。

Q.34
確定拠出年金を利用するということは、ある意味株式のように常に
上下をくりかえす、マーケットの世界に身を置くことだと思うので
すが、全くの素人が、冷静に株式市場(マーケット)に向き合うた
めの、心構えを教えてください。

A.34
まずは、おさえておきたいことは、日々の相場の動き、過去から
これまでの市場全体の動きも、多くは人間行動の結果によって形成
されているということ。バブルも大幅な下落も、人の思惑やサプ
ライズそして、事件や事故によって引き起こされる人間の感情の変
化に起因しているということです。ですから、人が行動をおこすと
きの、原理原則を知っておくことが重要だと思います。

人、投資家の投資行動を分析する上で、近年注目を浴びているのが
「プロスペクト理論」と呼ばれるものです。プロスペクト理論では

①人は、財産が多いか少ないかではなくて、今保有している財産を
基準にそこ(出発点)からふえたか、減ったかによって喜んだり、
苦痛をおぼえたりする。

②その喜びや苦痛は、出発点から離れるにつれ薄れていく。
(感応度逓減性)

③また、人は同じ5万円であっても、5万円損する苦しみは、5万円
儲ける喜びよりも大きいと考える。つまり、損失は嫌だ。損失は利
益より強く感じるのが、人間(損失回避性)

が特徴としてあげられています。
このプロスペクト理論の提唱である、心理学者のダニエル・カーネ
マンは、2002年にノーベル経済学賞をこの理論によって、受賞して
います。経済学者、形無しです?。

彼は、実験を繰り返し、人は、利益を出したときと、損失をだして
しまったときとでは、感じ方がちがうことを発見しました。つまり
儲けたときは、従来の経済学理論どおり、人間は「リスク回避的」
な行動をとりますが、損をしたときは「リスク愛好的」に振る舞う
というものでした。

それは、「損失を回避したい」という思いが全面に出て、このとき
の意志決定が「リスクを取ってでも損は避けたい」となるからと
カーネマンは、指摘します。

100万円儲かる喜びと、40万円損する痛みの程度が同じという推定
結果もあります。いずれにしても、人間の合理性を前提とする伝統的
な経済学理論が、プロスペクト理論によって、根底から覆されたわけ
です。

確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)では、株式を投資対象とする投資
信託を購入していくことが少なからずあります。そのため、マーケット
の変動に振り回されることも十分予想されます。そんなときこそ、
このプロスペクト理論を思いだし、所詮、人のやることだと割り切り、
それでも、株式を使った資産運用が長期的に有効であると、冷静に行動
することが求められます。

 

 

 

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