7/29-8/2の週は、週末にかけ、マーケットは不安的な動きとなりました。いつものように、重要ス
ケジュール(日銀金融政策決定会合、FOMC)を日米ともに、無事通過していたところですが、そうは
なりませんでした。日本では、 植田総裁の発言を受け、1日、2日と日経平均で、3,200円近く下げ、
為替市場では、一気に円高ドル安が進んでいます。
米国市場では、パウエル議長の9月利下げを認めるような発言にも関わらず、経済指標等の景気減速
懸念から、ハイテク株中心のナスダックは前週に比べ、3%以上値下がりしています。
目次
景気後退懸念からリード役の半導体、ハイテク株に売り
ポイント
- FOMC(米公開市場委員会)では、政策金利は据え置き(8会合連続,5.25%-5.50%)も利下げ可能性を示唆
- 週末の7月雇用統計(非農業部門雇用者数は予想下回る+11.4万人、失業率4.3%)から景気減速懸念
- ビッグテック決算(メタ、アマゾン、アップル)は、良い内容も、景気減速懸念から?株価はさえず
- 先行きの投資家の不安心理をあらわす、VIX指数は急上昇。
7月 雇用統計等
8/1
<7月新規失業保険申請件数>
:24.9万件(予想23.6万件、6月23.5万件)
8/2
<7月米国雇用統計>
- 非農業部門雇用者数:前月比+11.4万人(予想+17.5万人)
- 失業率:4.3%(予想4.1%、前月4.1%)
- 平均時給:前年比3.6%(予想3.7%,前月3.9%)
4-6月の決算もそこそこの内容、9月利下げ容認?という良いニュースにも関わらず、それ以上に景気
の先行き不安や失業率の上昇に、米国株式市場は反応。
ここまで、マーケットを牽引してきた、エヌビディアは週間で5%、史上最高値から20%超まで下落。
赤字決算と15,000人以上の人員削減を発表したインテルも歴史的な下げ(▼26%)を記録しています。
ハイテク株の下落の影響は、資本財や金融セクターなどにもおよんでいました。投資家の不安心理が
高まった状態を示す恐怖指数(VIX)は、目安の20を上回って一時29.66まで上昇。市場の不透明感
が強まりました。
2日のマーケット
*日付をクリックするとその日のマーケットの様子がわかります。
月曜日
- エヌビディア<NVDA▼1.30%,111.59ドル>
- テスラ<TSLA+5.60%,232.10ドル>
- NYダウ▼0.12%
- S&P500+0.08%
- ナスダック+0.07%
- 長期金利(10年国債利回り)4.18%
- *株価、指数等は終値。(+↑)(▼↓)は前日比です。
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)→7/30日~31日
- 政策金利の据え置きが予想。次回、9月(17~18日)の会合での利下げ観測が高まっています。
<ビッグテックの決算>
-マイクロソフト<MSFT>、メタプラットフォームズ<META>、アップル<AAPL>アマゾン・ドット・コム<AMZN>の決算発表が予定。時価総額の大きいハイテク企業の決算内容を見極めたい市場参加者が多く、様子見も。
- -マクドナルド<MCD+3.74%,261.42ドル>24年4~6月期が減収減益にもかかわらず、割安メニュー導入による業績期待?で上昇
- -アナリストが高評価を示した、テスラ<TSLA+5.60%,232.10ドル>への買いが目立ち、
- -ウォルト・ディズニー<DIS+2.46%,92.14ドル>も傘下のMARVEL映画『デッドプール&ウルヴァリン』の好調な滑り出しが伝わり上昇
- -アルファベット<GOOGL+1.51%,169.53ドル>もしっかり
- – 前週末に20%あまり上昇していたスリーエム<MMM▼1.57%,125.16ドル>が下落。
火曜日
- エヌビディア<NVDA▼7.04%,103.73ドル>
- テスラ<TSLA▼4.08%,222.62ドル>
- NYダウ+0.5%
- S&P500▼0.5%
- ナスダック▼1.28%
- 長期金利(10年国債利回り)4.14%
- *株価、指数等は終値。(+↑)(▼↓)は前日比です。
- ハイテク株の調整局面続く
-エヌビディアの下落が主導するかたちがハイテク株、全般に売り広がる。またアップルなど大型ハイテク企業の決算を見極めたい市場参加者も多かったようです。
- 9月の利下げは既定路線?
-FRBが9月に利下げを始め、米経済がソフトランディングに向かう期待が株式相場を支える。
- イスラエル情勢
-イスラエルがヒズボラの幹部を標的に空爆し、マーケットではリスク回避の姿勢も。
- P&G<PG▼4.84%,161.70ドル>の売上高が市場予想を下回り、株価は下落。
- 業績見通しを引き下げたメルク<MRK▼9.81%,115.25ドル>が大幅下落。
- マイクロソフト<MSFT▼0.89%,422.92ドル>。決算発表後の時間外取引では▼3.6%前後の下落の動き。AI製品への巨額投資の成果に不透明感との指摘がありました。
水曜日
- エヌビディア<NVDA+12.81%,117.02ドル>
- テスラ<TSLA+4.24%,232.07ドル>
- NYダウ+0.24%
- S&P500+1.58%
- ナスダック+2.64%
- 長期金利(10年国債利回り)4.03%
- *株価、指数等は終値。(+↑)(▼↓)は前日比です。
<FOMC>
- 政策金利は5.25~5.5%に据え置きも、パウエル議長は経済が利下げに適した状況に近づいているとの見方を示す。
- パウエル議長のFOMC後記者会見で、9月に利下げする可能性を示唆し、金融緩和への期待ふくらむ。
- メタ・プラットフォームズ、4-6月(第2四半期)決算発表。広告収入が予想を上回る、+22%増となり、売上高、1株利益とも前年同期比プラスに。
- アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD+4.36%,144.48ドル>(30日決算発表)も市場予想を上回る決算で買われる。
- エヌビディアが急伸、半導体関連株が買われ、フィラデルフィア半導体指数<SOX+7.01%>が上昇、ナスダックも高い。
木曜日
- エヌビディア<NVDA▼6.67%,109.21ドル>
- テスラ<TSLA▼6.55%,216.86ドル>
- NYダウ▼1.21%
- S&P500▼1.37%
- ナスダック▼2.30%
- 長期金利(10年国債利回り)3.98%
- *株価、指数等は終値。(+↑)(▼↓)は前日比です。
- 米国債は買われ、長期金利は約半年ぶりに4%を割り込む。
- 決算発表から→アップルとアマゾン
- アップル<AAPL>の4-6月決算は売上、1株利益とも予想を上回る。iPhoneの売上は伸び悩むも、予想は上回る。
- アマゾン<AMZN>4-6月決算は、売上、1株利益とも予想を上回る内容。ただし、次期第3四半期の営業利益見通しに懸念?
- 取引終了後は、アップルは+0.6%前後、アマゾンは▼7%台後半の動きです(このポストの日本時間)。
- 前日決算発表をした、メタプラットフォームズ<META+4.82%,497.74ドル>は決算見通しが市場予想を上回り好感され上昇。
- 米国景気や労働市場の減速が意識される?
- 7月のISM製造業景況感指数が市場予想を下回り、米景気懸念が高まる。「雇用」項目の低下が目立つ。
- 7月新規失業保険申請件数も24.9万件(予想23.5万)23年8月以来の高水準に。。
金曜日
- エヌビディア<NVDA▼1.78%,107.27ドル>
- テスラ<TSLA▼4.24%,207.67ドル>
- NYダウ▼1.51%
- S&P500▼1.84%
- ナスダック▼2.43%
- 長期金利(10年国債利回り)3.79%
- *株価、指数等は終値。(+↑)(▼↓)は前日比です。
<7月雇用統計 >
- 市場予想を下回り、景気減速懸念が強まる。
- -非農業部門雇用者数:前月比+11万4000人増。市場予想の+18万5000人を大きく下回る。
- 失業率:4.3%に上昇、労働市場の軟化が懸念。
- 景気後退の可能性が意識され、リスク回避のために株を売り、米国債の買いに動く投資家も。
- 投資家の不安心理が高まった状態を示す恐怖指数(VIX)は、目安の20を上回って23ポイント台に上昇。市場の不透明感が強まりました。
- 長期金利(10年国債利回り)は約7カ月ぶりの低水準に。
- 一方で、FRBの利下げ観測が強まり、年内に3回の利下げ観測も。
- AIを先駆け適合した企業に市場を奪われ、CPUの不具合も指摘されていたインテル。
-1日、赤字の事業を中心に立て直しを図るため、15,000人以上の人員削減計画と、第4・四半期から配当を停止すると発表。2日の株価は<INTC▼26%,21.48ドル>は大幅に下落。
景気減速懸念の沈静化は経済指標しだい?
今週の米国マーケットも、経済指標等に神経質にならざるを得ないと環境と思われます。7月サービ
ス業PMIやISM非製造業景気指数、週次新規失業保険申請件数などが予定され、これらが良い内容と
なれば、景気減速懸念は沈静化されるかもしれませんが、VIX指数等の動きを見る限り、投資家の不
安心理が払拭されるには、さらなる良いニュースが必要かと思われます。
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