米朝首脳会談も重要ですが、マーケット関係者にとってそれ以上に大切なイベントは、12日-13日におこなわれる、FOMC(米連邦公開市場委員会)。3月以来の利上げは、ほぼ確実と市場では見られています。注目されるのは、利上げが決定された場合。今年後半にあと、何回するのかということを、議長発言などで、マーケットは推し量ろうとします。ここでは、3月と5月のFOMCをふりかえり議事録等から、明日からの6月FOMCを読んでみましょう。
3月のFOMC
3月20日〜21日-パウエル新議長初仕事(会見がありました。)
FOMCは、政策金利であるFF金利の誘導目標を、0.25%ポイント、1.50%〜1.75%へと昨年の12月以来の引き上げをおこないました。景気や物価に対しては強気の見方をしており、1年で2%の物価上昇率を達成できるという自信をのぞかせ、今後も段階的な利上げが適切としていました。そして、米国経済が、向こう数年間に過熱する可能性と、物価上昇のペースが、今後数ヶ月は、前年比で、上向く予想をしていました。また、3月時点で他国による報復的な通商措置の可能性が米国経済のリスクと言及していました。議事録からは、
・ほとんどの参加者が緩やかな利上げは適切と判断
・ 見通しは、利上げ加速を正当化と多くの参加者が判断
・参加者全員がインフレは、ここ数ヶ月で上向いていると指摘
・政府による大規模な財政政策が成長を今後数年促進
・貿易戦争は(経済の)下振れリスクと参加者の大多数が判断
5月のFOMC
政策金利、FFレートは、1.50%〜1.75%に据え置き(事前予想どおり)
労働市場は引き続き堅調。経済活動は穏やかに上昇を示しており、インフレは中期的に2%付近で推移すると予想。家計支出(四半期ベース)の伸びは緩やかであり、設備投資は引き続き堅調。現在の経済状況は緩やかな政策金利の引き上げを正当化するもであるとしていました。議事録からは、
・数人の参加者は物価の基調はほぼ変わらない。
・ 多くの参加者は賃金上昇のプレッシャーが引き続き緩やか。
・ しばらくは、物価上昇率は2%を超える(一部の参加者)。
・大半の参加者が速やかに次の利上げをおこなうことが適切と指摘。
・緩やかなインフレの行き過ぎは有用と認識。
・インフレ期待がいくぶん低いままと警告(一部参加者)
文章だけみていると、一体どっちなんだということになりそうですが、議長の発言等を含め、FRBの言い回しは、独特で、どちらともとれるものであり、マーケットの反応をみながら、金利や株式市場等の大きな変動とはならないように、結果としてソフトランディングしている場合が多いように思われます。5月の議事録でも、その独特な言い回しによって、緩やかなインフレの場合は、利上げペースは加速するわけではないようなことを示唆することで、マーケットに安心感を与えていた思います。ただ、「大半の参加者が速やかに次の利上げをおこなうことが適切と指摘」とあるように、今週のFOMCでの利上げはほぼ確実ですが、マーケットは織り込み済みとなる可能性が高いです。
3月のFOMC参加者による、利上げ回数は、今週(6月FOMC)あれば、あと1回(年3回)というのが、予想されましたが、米国の景気経済状況を、FRB(米連邦準備理事会)の捉え方によっては、あと2回(計4回)の可能性も十分考えられます。米国株式市場は、利上げが予想どおりの3回なら好感し上昇、4回の可能性が示唆されれば、嫌気され下落というパターンを今年に入り、繰り返していましたが、市場関係者にとっては、年3回が理想であり、期待しているところです。
最後に、3月、5月のFOMC後に株価がどう動いたか確認できるように、チャートと、今後のFOMCの開催スケジュールを記しておきます。
直近3ヶ月のニューヨーク・ダウの動き↓
引用元 ニューヨーク・ダウ【^DJI】:株式/株価-Yahoo!ファイナンス
FOMC開催スケジュール
・7月31日〜8月1日(日本時間8月2日声明あり)
・9月25日〜26日■パウエル議長の記者会見(日本時間9月27日)
・11月7日〜8日(日本時間11月9日声明あり)
・12月18日〜19日■パウエル議長の記者会見(日本時間12月20日)
連邦公開市場委員会のことをFOMC(Federal Open Market Committee)と呼びます。アメリカの金融政策を決める会合で年8回ワシントンで開催されて
います。
FOMCについてはこちら↓
FOMCのメンバーについて
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