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6月最終週の米国株式市場動向、月末のリバランスの影響で
28日の動き
今月最後の取引日で機関投資家のリバランス売りもあり、ラッセル2000の年1回の銘柄入れ替えに合わせた売買も増加。ダウ構成銘柄であるナイキ(▼19.98%,75.37ドル)が前日発表の決算で売上高が市場予想を下回り、25年5月期も減収見通しを示したため急落、NYダウを押し下げる要因に。
また米長期金利が4.3%台後半で推移し、金利上昇により、株価の相対的割高感に出ていたと指摘する市場関係者がいました。それでも、主要3指数では、S&P500とナスダックが一時、過去最高値を更新しています。
1週間のダイジェスト
*日付をクリックすると、その日のマーケット状況がわかります。
月曜日
- 相対的に出遅れ感のあった銘柄に買いが入り、NYダウは週明けをスタート。
- エヌビディア(NVDA)は6%あまり下げ、相場の重荷に。
- 人工知能(AI)関連で業績期待の高い銘柄に投資資金が集中。短期的に買われすぎとの見方から利益確定売りが出やすい環境。
- アナリストが投資判断を「買い」で銘柄調査を始めたIBMも高い。アップル(AAPL)は小幅高。
- ブロードコム(AVGO)やクアルコム(QCOM)など半導体関連株が全般に売られる。
火曜日
- 前日に約1カ月ぶりの高値を付けた後、主力株の一部に持ち高調整の売り。
- 経済指標が経済の減速感を示したことが重荷となり、ダウ平均は一時400ドルを超える下げ幅を記録。
- FRBのボウマン理事は、「政策金利の引き下げが適切だという段階にはない」との見解。
- クック理事も利下げ時期は経済指標次第との見方。
- ウォルマート(WMT)▼2.1%。経営陣が2024年5~7月期の見通しに慎重な見方を示す。
- ホーム・デポ(HD)やナイキ(NKE)など消費関連株も売られる。
- ボーイング(BA)下落。欧州エアバスが24年12月期通期の業績予想を下方修正の影響。
- 一方、セールスフォース(CRM)やマイクロソフト(MSFT)などハイテク株が買われる
- 売りが一巡したハイテク株に買い。
- アナリストが投資判断を「買い」で開始したウォルト・ディズニー(DIS)。
- 他のAI関連銘柄やハイテク株も買われ、テスラ(TSLA)やアルファベット(GOOGL)も上昇。
水曜日
- アナリストが目標株価を引き上げたアマゾン(AMZN)が上昇し時価総額が2兆ドルを超え。アマゾンは米企業で5社目(アップル、マイクロソフト、アルファベット’グーグル、エヌビディア) 2兆ドル企業へ。
- アップルもアナリストの投資判断引き上げを受けて上昇。
- FRB高官の早期利下げに対する慎重な発言が響き、米長期金利の上昇が株価の重荷に。
- 週内には米大統領選に向けた候補者のテレビ討論会や
- FRBが重視する米5月個人消費支出(PCE)物価指数の発表が控え、マーケットは様子見。
- リヴィアン・オートモーティブ(RVIN)が独フォルクスワーゲンからの投資発表を受けて大幅高。
- エヌビディア(NVDA)とメタプラットフォームズ(META)も小幅高。
木曜日
- 米債券市場では国債入札が堅調。米経済指標が景気減速を示したことを受けて長期金利が低下。
- これにより株式の相対的な割高感が薄れ、米株相場を下支え。
- 半導体のマイクロン・テクノロジー(MU)が大幅下落。慎重な業績見通しで利益確定の売り。
- エヌビディアやクアルコムなど他の半導体株も下げ、米株相場の上値を抑制。
- アトランタ連銀のボスティック総裁は、FRBが10~12月期に利下げする可能性が高いと発言。
- 市場ではFRBが9月に利下げする期待がやや薄れ、株式相場の重荷に。
- 大統領選に向けた候補者のテレビ討論会や
- 5月米個人消費支出(PCE)物価指数が発表を控え、積極的な売買が手控えられる。
金曜日
- 月末と四半期末の持ち高調整の売りが影響。
- ナイキが前日発表した決算で売上高が市場予想を下回り、さらに25年5月期の減収見通しを示し急落
- 20%ほど下げ、ダウ平均を120ドル押し下げる。
- 今月最後の取引日で機関投資家のリバランス売りもあり、ラッセル2000の年1回の銘柄入れ替えに合わせた売買も増加。
- 米長期金利は4.3%台半ばで推移し、金利上昇が株価の相対的割高感につながった。
- 7月4日の独立記念日に向け、利益確定売りも影響。
- 5月のPCE物価指数は市場予想通り
-エネルギーと食品を除くコア指数は0.1%上昇、
-前年同月比は2.6%の上昇。
- ミシガン大学が発表した6月の消費者態度指数(確報値)
-68.2と速報値(65.6)を上回り、予想インフレ率も低下。
- 前夜の大統領選候補者討論会の影響は限定的。
3兆ドルと2兆ドル
6月18日には、にエヌビディアがマイクロソフトを抜き、時価総額で世界一に。
エヌビディアの3兆ドルまでのペース。
2023年5月 1兆ドル
2024年2月 2兆ドル
6月6日 3兆ドル
6/10 10:1の株式分割 6/18 3.34兆ドルへ。
エヌビディアは、アップル、マイクロソフトについで、3兆ドル企業の仲間入り。そして28日には、アマゾンが(アップル、マイクロソフト、アルファベット’グーグル、エヌビディア、”米国非上場サウジアラムコを除く”)に次ぐ5番目の2兆ドル企業となっています。因みに、日本一の時価総額を誇る、トヨタ自動車(7203) は約52兆円。3兆ドルを160円の為替で計算すると、480兆円、2兆ドルで320兆円。凄いことになっています。
ハイテク株関連に一服、それとも過熱感!?
下記のグラフは6月月間の、NYダウ、S&P500、ナスダックとマグニフィセント7の上昇率です。2024年前半を終え、マーケットの中心はM7であることに変わりはないようです。
ここまでは、順調と言える米国株式市場ですが、エヌビディアをはじめとする半導体関連に過熱感が出ていることも事実です。
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