米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月11日、12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。5月のCPIはインフレの低下を示すものでしたが、利下げを行うための十分な理由とはなりませんでした。FOMCを中心に一週間を振り返ります。
目次
週末の動き、主要株価3指数、ドル=円、長期金利
14日のマーケット
今週のポイント
今週のポイント
- ・アップル-多数のAI関連の発表で株価は週間で8%上昇。
- ・エヌビディア-株式分割後も9.1%上昇(11日→14日)
- ・FOMCでは政策金利が7会合連続で据え置き
- ・S&P500、ナスダックはAI関連株リードで、史上最高値
FOMCによる引き下げは、年内1回?
7会合連続据え置き
FOMC前は、9月に利下げが行われ、年内3回引き下げというシナリオを読み取る6月会合の意味合いがあったと思いますが、ドットチャート(FOMCメンバーによる政策金利<FF金利>の見通し)は年1回を示すもので、マーケットに少なからず不安を与えるものでした。
今回のFOMCのポイントです。
- フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を市場予想通り5.25%~5.50%で据え置き。これは7会合連続。
- FOMC声明は、2%の物価目標に向けた進展を評価。
- 保有証券の圧縮ペース緩和の記述を削除。
- ドットチャートでは2024年に1回の25ベーシスポイント(bp)の利下げが適切?。
- 最頻値でみるとタカ派的ではなく、想定内の結果。
- パウエル議長はインフレ目標達成のために「より良いデータ」が必要と発言。
- 政策判断はデータ次第という基本姿勢を維持。
- FOMCの決定はバランスの取れた内容と評価。
- 市場はFOMC結果発表前の5月の米消費者物価指数(CPI)の低下予想で落ち着いた反応。
これまでのFOMC
FOMC開催月 | 幅 | 政策金利(*FFレートの目標誘導レンジ) |
2020.4~2022.1月 | 変更なし | 0.00~0.25% |
2022.3月【ゼロ金利政策解除】 | +0.25% | 0.25~0.50% |
5月 | +0.50% | 0.75~1.00% |
6月 | +0.75% | 1.50~1.75% |
7月 | +0.75% | 2.25~2.50% |
9月 | +0.75% | 3.00~3.25% |
11月 | +0.75% | 3.75~4.00% |
12月 | +0.5% | 4.25~4.50% |
2023.1月 | +0.25% | 4.50~4.75% |
3月 | +0.25% | 4.75~5.00% |
5月 | +0.25% | 5.00~5.25% |
6月 | 据え置き | 5.00-5.25% |
7月 | +0.25% | 5.25-5.50% |
9月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
10月/11月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
12月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
2024.1月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
3月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
4月/5月 | 据え置き | 5.25-5.50% |
6月 | 据え置き | 5.25-5.50%←今ここです |
S&P500とナスダックが史上最高値更新
ダイジェスト
S&P500とナスダックが史上最高値を更新。アップルやエヌビディアをはじめとする、ビッグテックの動きからは、FOMCでの多少ネガティブな情報をAIという新しい世界が、覆い隠してくれた?と言えるかもしれません。
*日付をクリックすると、その日のマーケット状況がわかります。
月曜日
米国株式市場は、週内にFOMCとCPIの発表を控え、投資家の様子見姿勢。以下は、主要な出来事と指標の動きです。
ダウ工業株30種平均
- 反発し、前週末比69ドル05セント(0.17%)高の38,868.04ドル。
- 週内にFOMCとCPIの発表を控え、投資家の様子見姿勢。
ナスダック総合株価指数
- 3営業日ぶりに反発し、前週末比59.403ポイント(0.34%)高の17,192.53。
- 5日以来となる過去最高値を更新
S&P500種株価指数
- 3営業日ぶりに反発。前週末比13.80ポイント(0.25%)高の5360.79。5日以来となる最高値を更新。
主要銘柄の動き
- ウォルマート(WMT)とハネウェル(HON)が買われた。
- アマゾン・ドット・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)など主カハイテク株の一角が買われた。
- ホーム・デボ(HD)やウォルト・ディズニー(DIS)ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)も高かった。
- アップル(AAPL)は2%近く下げた。
- ビザ(V)やマクドナルド(MCD)ナイキ(NKE)も売られる。
- エヌビディア(NVDA)が上昇。
- ブロードコム(AVGO)やマイクロン・テクノロジー(MU)などの半導体株も買われる。
- アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は売られる。
今週のポイント
- ・アップル-多数のAI関連の発表で株価は週間で8%上昇。
- ・エヌビディア-株式分割後も9.1%上昇(11日→14日)
- ・FOMCでは政策金利が7会合連続で据え置き
- ・S&P500、ナスダックはAI関連株リードで、史上最高値
まとめ
NYダウ(ダウ工業株30種平均)は5月に初の4万ドルを台にのせて以来、弱含みで推移する一方、S&P500とナスダックは史上最高値を更新しています。AIが創り出す新しい世界をリードする、エヌビディアなど半導体関連の企業が多く指数を構成するため、この分野の企業が少ないNYダウは、AIブームの風に乗り遅れている感は否めません。
ただ、連日のように史上最高値を更新している2指数には、高値警戒感も出てきており、AIブームの風がどこまで吹くのか試されるタイミングにはきているように思います。
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