米国株式市場の週間レビュー:AI関連株と利下げ見通しで揺れる市場【5/20-24】
5/20-24の米国株式市場は、AI関連株の活況と利下げ見通しの後退が交錯する中、上昇と反落を繰り返す動きとなりました。エヌビディアの好決算や強気のガイダンスが市場を支えた一方で、FOMC議事要旨のタカ派的内容が早期利下げ期待を後退させ、投資家心理に影響を与えました。
目次
エヌビディアがAI関連株の上昇をリード。
週末のマーケット
今週のポイント
今週のポイント
- FOMC議事録からは、インフレに対する強い姿勢が示される。
- 利下げ見通しに陰り?年内2回確率も幾分低下
- エヌビディアの好決算がAI関連株を牽引。
- 23日にはS&P500とナスダックが史上最高値更新!
1週間のダイジェスト
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月曜日
- 米国株市場の動向: ダウ工業株30種平均が前週末比196ドル82セント(0.49%)安の39,806ドルセントで終了。前週末には初めて4万ドル台で取引終了後、主力株の利益確定売りにおされる。
- JPモルガン・チェース大幅安:指数の重荷となり、ダウ平均は午後に下げ幅を拡大。ジェイミー・ダイモンCEOの早期退職の可能性示唆や自社株買いの制約が投資家の不安を煽る。
- FRBの動向: 年後半の利下げ開始と米経済のソフトランディング期待から前週末まで買いが広がり、ダウ平均は5月に入ってから2180ドル上昇。4万ドル到達の達成感と短期的な過熱感から利益確定売り。
- ナスダックの動向: 半導体関連株の上昇が目立ち、エヌビディアとマイクロンが上昇。
- 個別銘柄の動向: エヌビディア(NVDA)とマイクロン(MU)のほか、クアルコム(QCOM)が上昇し、マイクロソフト(MSFT)が開発した新パソコンにクアルコムの半導体が搭載されたと発表。
- 市場の循環: バリュー株からグロース株への循環物色も。AI関連の期待が高まり投資家心理を支える。
火曜日
- 米国株市場の動向: 22日のエヌビディアの決算発表を見極めたいとの雰囲気もあり、上げ幅は限定的。
- FRBの影響: 年内の利下げ観測から米国景気や企業業績への楽観的な見方が広がり、JPモルガン・チェース(JPM)やゴールドマン・サックス(GS)IBM、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などが上昇。
- FRB高官の発言: ウォラー理事は「利下げ転換には数ヶ月分の良い物価指標が必要」との見方を示し、FRB高官の慎重な発言が続いたことが株式相場の重荷に。
- 重要イベント: 22日にエヌビディアの決算発表やFRBのFOMC議事要旨の公表が予定され、市場では持ち高を傾ける動きが限定的で積極的な取引は控えられる。
- 個別銘柄の動向: マイクロソフト(MSFT)が最高値を更新し、アップルとウォルマート(WMT)も上昇した。一方でキャタピラー(CAT)とボーイングが下げた。
- ナスダックの動向: ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は37.750ポイント(0.22%)高で終了し、連日で最高値を更新。アルファベット(GOOGL)とテスラ(TSLA)が上昇。
水曜日
- 米国株市場の動向: FOMC議事要旨で参加者が強いインフレ姿勢を示したことが売りを誘発。
- FOMC議事要旨の影響: 4月30日~5月1日のFOMC議事要旨で、「最近の指標はディスインフレの過程に時間がかかりそう」との認識が示され、一部の参加者が追加引き締めを支持する可能性を示唆。
- 市場の反応: 前週末に初めて4万ドルを超えたダウ平均や最高値を更新したS&P500種株価指数に対する過熱感が強まり、主力株に利益確定売り。NYダウは一進一退の後、午後に売りが広がり、一時下げ幅が300ドルを超えも。
- 個別銘柄の動向: エヌビディアは決算発表を控えて買いが手控えられ、反落して終えた。ターゲットは決算で1株利益が市場予想に届かず、大幅下落。米消費の先行き不透明感も相場の重荷に。
- NYダウ構成銘柄の動向: ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)やベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)などディフェンシブ株は買われる。
木曜日
- 米国株市場の動向: 23日のNYダウ(1.52%)安。下げ幅は2023年2月下旬以来の大きさで、インフレ圧力の根強さとFRBの利下げ転換に対する慎重な姿勢が売りを誘発。
- 経済指標の影響: 週間の米新規失業保険申請件数は21万5000件で市場予想(22万件)を下回る。5月のPMI速報値は製造業が50.9、サービス業が54.8で、どちらも市場予想(50.0、51.5)を上回り、米経済の底堅さがインフレ沈静化に影響するとの見方が広がる。
- FRBの影響: 前日のFOMC議事要旨でインフレ長期化の懸念が示され、FRBが利下げ開始に慎重になる可能性を意識。長期金利が上昇(4.42%台後半)。
- 個別銘柄の動向: ダウ構成銘柄のほぼ全てが下落。アップル(AAPL)セールスフォース(CRM)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が下落し、ボーイング(BA)は投資家向け説明会でフリーキャッシュフローがマイナスになる可能性を示し7.5%安で終えた。
- 市場の反応: ダウ平均が4万ドル台に乗せた高値警戒感から利益確定売りや持ち高調整の売りも出やすく市場全体に調整ムードが広がり、最高値更新後の反動か。
- ナスダックの動向: ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は65.511ポイント(0.38%)安の16,736.033で終了。テスラ(TSLA)が3.5%安となり、メタプラットフォームズ(META)も下落。一方、エヌビディアは好決算を発表し、9.3%高。
金曜日
- 24日ニューヨーク株式相場は上昇。
- エヌビディアが前日の9.32%高に続き、2.57%高と続伸し、AI関連株の上昇を牽引。
- ナスダック総合:1.10%高と3日ぶりに大幅反発し、今年11回目の最高値更新。
- 週間では:ダウ平均が2.33%安と6週ぶりに反落。S&P500が0.03%高と5週続伸。ナスダック総合は1.41%高と5週続伸。
- 米10年債利回り(長期金利):前日の4.47%台から4.46%台に低下。23日には一時4.498%まで上昇。
- FOMC議事要旨:利下げに消極的なタカ派的内容。
- 市場の反応:5月のミシガン大学1年先期待インフレ率確報値が前月の3.5%から3.3%に低下。CMEフェド・ウォッチの9月FOMCでの利下げ確率は51%から49%に低下。年内2回の利下げ確率も42%から38%に低下。
まとめ
まとめ
- FOMC議事録からは、インフレに対する強い姿勢が示される。
- 利下げ見通しに陰り?年内2回確率も幾分低下
- エヌビディアの好決算がAI関連株を牽引。
- 23日にはS&P500とナスダックが史上最高値更新!
早期の利下げを期待する市場関係者とそれをなだめるようなFRB高官の駆け引きが続くマーケット。いつものことながら、はっきりとした答えは、インフレ指標を確認しつつ判断されることですので、結果は誰にもわかりません。長期投資をする上では、通過点に過ぎないものと、どっしりと構えていたいものです。
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