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テスラ、1-3月期【最新決算】と見通しを解説:EV市場の苦戦を語る、イーロン・マスクCEO

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注目されていた、テスラ1-3月期の決算が発表されました。EV市場全体の苦戦が伝わる中で、リーダーとして

テスラがどのように舵取りするのか。四半期決算とともに、新製品の進展にスポットを当て解説します。

目次

売上と納車台数減少も、新モデル、新技術、新製品に期待

ポイント

ポイント
  • 多くの自動車メーカーがハイブリッド車を優先しているため世界のEV販売は引き続き低迷
  • 自動車事業は前年同期比▼13%の173億ドル
  • 減収のなるのは新型コロナウィルスのパンデミックにより生産と納車が停滞した2020年第2四半期以来
  • エヌビディアのGPUにより、自動運転車、AI関連技術の促進を加速
  • バッテリーセル、新世代EVの生産やサイバートラックの量産で次のステップへ。
  • 人工知能(AI)、ヒト型ロボット、自動運転車でAIロボット企業を目指す

決算ダイジェスト

2024/1-3月期(Q1)2023/1-3月期(Q1)前年同期比
売上高21,30123,329▼ 8.7%
営業利益1,1712,664▼56%
当期利益1,1292,513▼55%
調整後EPS0.450.85▼47%
決算概要(※単位百万ドル EPSはドル)
  • 売上高は213億ドル<3兆3,000億円>(予想 221億~223億ドル)
  • 自動車事業(自動車販売165億ドル+*規制クレジット4.4億ドル+リース4.8億ドル)の売上高は174億ドル(前年同期比▼13%)
  • 減収となるのは新型コロナウィルスのパンデミックにより生産と納車が停滞した2020年第2四半期以来。
  • EPS(1株利益)0.45ドル(予想 0.52ドル)
  • 粗利益率17.4%(前年同期 19.3%,前四半期17.6%)
  • 2025年の後半に向け、求めやすい価格帯の新モデルの投入を加速
  • 2024年の販売台数の伸びは「著しく低下」する可能性を再確認
  • 全体の売上高に占める規制クレジットの割合は2.1%
  • モデル2?の予想販売価格が25,000ドルを超える可能性を示唆

テスラの規制クレジット事業は、環境規制に準拠するために必要なクレジットを他の自動車メーカーに売却することによって得られる収益を指します。自動車メーカーは、自社の車両が環境基準を満たさない場合、規制クレジットを購入することで規制要件を満たすことができます。テスラは、自社のEVがゼロ排出車両であるため、他のメーカーに規制クレジットを提供して収益を上げています。これにより、テスラはクレジット収入を通じて収益を確保し、事業の持続可能性を高めています。

売上と納車台数の減少

第1四半期の自動車事業売上高は174億ドルと前年同期比で13%の減少。これは、新型モデル3の量

産初期段階の影響やドイツの工場での放火被害が原因で納車台数の減少、さらには価格の値下げに

よる平均販売価格の低下によるものとテスラはしています。

*Model3/Yとその他の納車台数の推移。『その他』としたのは今期から。それまでは『ModelS/X』としてい
ました。カーソルを当てると、詳細な台数がわかります。

利益率の悪化

粗利率は17.4%に悪化。営業利益率も5.5%と低下に。平均価格の低下と出荷数の減少、

さらに新型電動ピックアップトラック「サイバートラック」の初期費用や先端バッテリ

ー技術への研究開発費の増加が影響とテスラは指摘しています。

AI技術の進化

テスラはAI技術への投資を進めており、NVIDIA社のGPU「H100」を使用したAI訓練の演算能力

は顕著に向上していることも明らかにしています。これはテスラがAIと自動運転技術の分野でリ

ーダーシップを保つための重要なステップと位置付けられています。

NVIDIAよって開発された高性能GPUは、特にAIやディープラーニングの計算に特化しており、

これを使うことでAIモデルの訓練が速く、効率的に行えるようになります。以前のモデルや他

のGPUを使用した場合と比較して、AIの演算処理能力が大幅に改善され、「H100」の場合の

テスラのシステムの稼働数は約3.5万基となり、Q1のAI訓練の演算能力は前四半期から倍増し

年末までには更に、8.5万基ほどになると想定。このようにテスラは最先端の技術を利用して、

自動運転やその他のAIに関連する技術の発展を促進しています。

バッテリー生産、新製品開発、次世代モデル

「4680」バッテリーセルの生産量は前四半期比で約20%増加。このテスラの「4680」バッテリ

ーセルは、新型大容量筒形EV向けに開発された次世代リチウムイオン電池。革新的なドライ電極

技術を採用し、従来よりも高いエネルギー密度と性能を実現しています。これにより、電気自動

車の性能と航続距離が向上し、持続可能なモビリティへの貢献が期待されています。また、

サイバートラックの週間生産能力も1千台を超えるなど、生産面では前向きな進展が見られます。

さらにはテスラは次世代EV(モデル2?)の生産開始を2025年初めに前倒しする計画。そして8月

にはロボタクシーを公開予定。これらの新モデル、新製品は、テスラの将来の成長戦略において

重要な要素となります。

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EV市場とハイブリッド車の対立

トヨタの一人勝ち!?

2024年に入り、EVに関しては、悪いニュースが欧米での冬季期間でのトラブルを皮切りに

情報として多く伝わるようになってきました。

  • EVの充電インフラ不足による利便性の問題
  • EVのバッテリー性能や寿命に関する懸念
  • EVの価格が高く、一部の消費者にとって手が届きにくいこと
  • EVの製造や廃棄における環境負荷の問題
  • EVの安全性に関する報告や事故の増加に対する懸念

一方、トヨタを中心とするハイブリッド勢は、破竹の勢いで世界的に売上を伸ばしています。

この現象に対し、マスクCEOは決算説明会において、

  • EVの需要低迷とハイブリッド車の増加について業界を非難。
  • ハイブリッド車の優先がEV販売とテスラの売上に圧力をかけている。
  • テスラは規制クレジット事業にはプラスだが、EVの普及を望むと強調。
  • 大手自動車メーカーがハイブリッド車を優先し始める中、ハイブリッ
    ド車を販売していないことがテスラにとって課題となっている。

と自動車業界の現状を訴えています。購買層は手頃な価格よりも実用性を求め、日常的な

ニーズに合ったハイブリッドモデルに 関心を寄せているという事実からは目を背ける

ことができないほど、ハイブリッド車は売れ、EVにかつての勢いはありません。

テスラの規制クレジット事業は、環境規制に準拠するために必要なクレジットを他の自動車メーカーに売却することによって得られる収益を指します。

自動車メーカーは、自社の車両が環境基準を満たさない場合、規制クレジットを購入することで規制要件を満たすことができます。

テスラは、自社のEVがゼロ排出車両であるため、他のメーカーに規制クレジットを提供して収益を上げています。これにより、テスラはクレジット収入を通じて収益を確保し、事業の持続可能性を高めています。

世界のカーボンニュートラル政策の追い風は続く

それでも、世界のカーボンニュートラルへの取り組みは待ったなし。その先頭を走るのは、やはり

テスラです。今後の、EVとハイブリッド車の在り方を問うのもとして、参考となるのが

【トヨタのEV戦争】- 中島孝樹氏著 講談社 

『トヨタのEV戦争』より

長年言われてきた通り、欧米中の自動車産業と日本の自動車産業の対立は、デジュール戦略とデファクト戦略の対立になっている。デジュール標準は公的な標準で、自国の産業の国際競争力を強化するためにルールを作る。一方、デファクト標準は市場での競争によって形成される業界標準で、選ばれたものが事実上の標準となる。トヨタはハイブリッド車で成功を収め、デファクト戦略の成功事例となっている。バイデン政権のカーボンニュートラル政策が実施されれば、燃費性能の低い大型車メーカーは打撃を受けるだろう。自国の産業が衰退することは避けるべきであり、政府は産業の構造転換を促進するために支援を行うべきだ。欧州のグリーンディール政策や中国のNEV規制、米国のインフレ抑制法は、外国産業を締め出し、自国の自動車メーカーを支援するためのデジュール戦略と結びついている。デファクト戦略にとって選択肢がないトヨタは、独自の価値を持つEVやSDVを確立し、競争力を強化しなければならない。

と各国の規制を変化の激しい、ビジネスの世界でどのように対応するかを考えさせられる内容とな

っています。現状は、ハイブリッドが逆転して有利となっていますが、世界が一丸となって「カー

ボンニュートラル」へ取り組む過程ではトヨタとテスラの立場か再度逆転する可能性や、大国中国

のEV市場への国家ぐるみの参戦も脅威となるのが、今の自動車業界です。

テスラはAIロボット企業

マスク氏はテスラの将来に関して、人工知能(AI)、ヒト型ロボット、自動運転車を活用したサー

ビスへの多角化を提案しています。彼はテスラを自動車メーカーではなく「AIロボティクス企業」と

位置づけ、自動運転車はエアビーアンドビーとウーバーを組み合わせたようなサービスになると述べ

ました。一部の車両はテスラが所有・運営し、他の車両は個人が所有するが、テスラのネットワーク

で貸し出されるという仕組みだそうです。いずれにしてもヒト型ロボット、自動運転車がどのような

形で、我々の前に姿を見せるか、今後の楽しみですね。

株価の動き

2022年の1月には、310ドル台にあった、テスラ。昨年2023年は、7月以降下り坂で今年に入っても

その傾向を引きずっていました。ハイブリッドの勢いにのまれていたところがありましたが、悪材料出

尽し感?から、今回の決算発表日の翌日には、反発をみせています。

*株価は月末終値。4/23,24日はその日の終値。カーソルを当てると、株価がわかります(ドル)。

まとめ

まとめ
  • 多くの自動車メーカーがハイブリッド車を優先しているため世界のEV販売は引き続き低迷
  • 自動車事業は前年同期比▼13%の173億ドル
  • 減収のなるのは新型コロナウィルスのパンデミックにより生産と納車が停滞した2020年第2四半期以来
  • エヌビディアのGPUにより、自動運転車、AI関連技術の促進を加速
  • バッテリーセル、新世代EVの生産やサイバートラックの量産で次のステップへ。
  • 人工知能(AI)、ヒト型ロボット、自動運転車でAIロボット企業を目指す

2024年第1四半期のテスラの業績は落ち込みとなるも、技術進化と新製品開発に向けた明確なビジョンが見られます。今後の展望として、これらの新技術が市場にどのように受け入れられるかがカギとなりそうです。

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