株式投資において、長期的な収益を求めるならば、連続増配を続ける企業の株を保有する
ことは賢明な戦略の一つです。特に、経済の変動が大きい時代において、安定した収益と
将来の成長性を兼ね備えた米国企業は、投資家にとって魅力的な選択肢となります。この
ブログでは、連続増配を実現している米国企業に焦点を当て、その投資価値と長期的な成
長性について解説していきます。
- 安定した収益と将来の成長性を兼ね備えた、連続増配ができる米国企業は投資家にとって魅力的な選択肢。
- 配当を連続して増やし続ける能力は、企業が長期にわたって安定した成長を遂げていることの指標。
- 投資家にとってのメリットは、インフレ対策、複利効果、防衛的投資を兼ね備えている点。
- 需要の安定と、時代の潮流(人口増加や高齢化)を捉え今後も成長が期待できるセクターに多い連続増配企業
連続増配企業とは?投資のメリットを解説
連続増配企業とは
配当貴族「Dividend Aristocrats」として知られるものは、S&P500指数に含まれ、
少なくとも過去25年間毎年連続して配当を増加させている企業を指します。この基
準は、企業が財務的に健全であり、長期的に投資家に安定した収入を提供できるビ
ジネスモデルを持っていることを示しています。ここでは増配年数が何十年にも及び
継続しているS&P500を構成する企業と定義します。(*連続増配期間は通期の会社発
表などを参考にしています。)
なぜ連続増配企業に注目が・・
経済の波は予測不能で、投資家は常に変動する市場に順応しなければなりません。特に最
近では、世界的な経済の不確実性が増大し、投資家は自身のポートフォリオを見直す必要
に迫られることも考えられます。このような状況の中、連続して配当を増やしている米国
の企業が投資家から注目を集めています。これらの企業は、財務の健全性と事業の持続可
能性を証明しており、経営陣が株主価値を重視していることを示し、連続増配企業への投
資により、投資家は定期的な収益を享受するだけでなく、市場の波乱に対する安心感を持
つことができます。配当は優良企業の株価を押し上げる原動力。連続配当は企業の安定し
た収益力と成熟度の証と見なされます。一方、継続的な配当は投資家にとって安定した
収益源となり長期的な投資への信頼を高めることに繋がります。(連続配当の重要性)
投資家にとってのメリット
連続増配企業への投資が多くの投資家にとって魅力的である理由は
- 収益の安定性: 連続増配企業は通常、安定した収益と強固な財務状況を持っています。
これにより、経済の波があっても配当を支払い続けることができます。 - 長期的な成長の指標: 配当を連続して増やし続ける能力は、企業が長期にわたって安
定した成長を遂げていることの指標。これは投資家にとって、企業が将来的にも収益
性を維持し続けることが期待できる良いサインです。 - 防御的な投資: 経済が不安定な時期においても、連続増配企業は比較的安定したパフ
ォーマンスを示しやすいため、ポートフォリオの防御策として機能します。これらの
企業は通常、需要が安定している業界に属しているため、不況の影響を受けにくい傾
向があります。 - インフレ対策: 配当金が増加することで、インフレによる購買力の低下を相殺する効果
があります。特に長期的に見た場合、増配はインフレ率を上回ることが期待できるため、
実質収入の増加につながります。 - 複利効果: 再投資された配当金は、時間とともに複利効果を生み出し、投資家の資産価
値を加速度的に増加させます。連続増配企業からの配当は、この複利効果を最大化する
のに役立ちます。 - 投資家への信頼: 企業が長期にわたり配当を増やし続けることは、経営陣が投資家に対
して持続可能な価値を提供しようとしていることの証です。これにより投資家と企業間
の信頼関係が築かれ、安心して長期投資を行う土台となります。これらのメリットは、
連続増配企業への投資が多くの投資家にとって、特に長期的な視点で魅力的な選択肢と
なる理由を説明しています。
デメリットは・・
連続増配企業への投資は魅力的な面もありますが、以下のようなデメリットも考えられます。
- リスクの集中: 連続増配企業に投資することで、特定のセクターや産業にリスクが集中す
る可能性があります。経済状況や業界の変化によって、そのセクターが不振に陥ると投資
全体のリターンに影響を与える可能性があります。 - 収益の制限: 連続増配企業はしばしば安定した成長を示すため、配当が増加し続けること
が期待されます。しかし、そのために会社は収益を一定の割合で配当に充てる必要があり、
成長や投資に必要な資金を確保するための余地が狭まり、タイムリーに動き出す成長株へ
の投資に乗り遅れることもあります。 - 価格の過熱: 連続増配企業はしばしば市場で高い評価を受け、その株価が過度に高くなるこ
とがあります。これにより、将来の利益が過度に織り込まれた状態になり、株価が調整され
るリスクが高まることもあります。 - 米国での税金:新NISAを利用すれば通常日本株の配当金や投資信託の分配金に税金がかかり
ませんが、米国株・米国ETFは米国の税率10%が適用され、この部分の税金は新NISAで非
課税になりません。
*ただし、NISAでなく一般の取引口座であれば20.315%を課税される代わりに外国税額控除が適用され、確定申告すれば
所得税額から差引くことができます。
S&P500との長期パフォーマンスの比較では
個別の連続増配企業のパフォーマンス(運用成果)は、別の機会にとっておくとして、ここ
ではS&P500と連続増配企業20社との比較。
連続増配企業20社の合成指数では、2000年以降、S&P500を上回る(配当再投資ベースの
トータルリターン)高いパフォーマンスが確認されており、長期投資のお手本をみることが
できます。
連続増配を続ける米国企業の分析
セクター、業界別の傾向
連続増配を行っている米国企業の業界別傾向を分析してみると、いくつかの主要なセ
クター、業界がそのリストに頻繁に登場します。これらの業界と、その中で連続増配
を続けている企業の特徴は?
生活必需品(Consumer Staples)
このセクターの企業は日用品等の生活に必要な製品を提供し、消費者の基本的な需要を満たしています。安定した需要により、経済の波に強く、連続増配の実績を持つ企業が多く存在します。ープロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、コカ・コーラがあります。
資本財(Industrials)
産業用機器や電子部品などを提供しており、ビジネスの基盤となる製品を扱っています。経済と共に成長する傾向があり、長期的な増配を続けている企業が見られます。ースリーエム(3M)はこのセクターになります。
ヘルスケア(Health Care)
医薬品、医療機器、ヘルスケアサービスなどを提供するセクターです。人口の高齢化と健康への意識の高まりにより、安定した成長を続けており、連続増配を行う企業が多くあります。ージョンソン・エンド・ジョンソン、アッヴィが、このヘルスケアセクターの代表格です。
一般消費財(Consumer Discretionary)
小売り業界に代表される、一般消費財のセクター。幅広い消費者商品を取り扱い、安定した収益基盤を持っています。消費者の日常的な需要を満たすことで、経済の波に対して比較的強いポジションを保つことができます。ーウォルマートといえば小売業界のキングですね。
公益事業(Utilities)
水道、電力、ガスなどのサービスを提供する公益事業は、生活に不可欠であるため、経済の状況にかかわらず安定した需要があります。その結果、連続増配を続ける企業が存在します。ーネクストラ・エネジーは米国最大の発電、送電を行う企業です。
さらにシンプルで、わかりやすい投資戦略← 2024年『ダウの子犬』:初心者でもわかる投資戦略!
安定収益の秘密を解明←こちらもチェック!!
米国では配当は聖域なのだ
企業の選定基準:
ここでは、財務健全性、業績の安定性、将来の成長見込みなどを考慮し、連続増配企業を
選定する基準やポイントを確認します。
財務健全性
-負債比率: 企業の負債がどの程度あるかを示します。低いほど企業は財務的に健全である
と考えられます。
– 流動比率: 企業が短期的な債務をどの程度迅速に支払えるかを示します。一般に、この比
率が高いほど財務健全性が高いとされます。
– 自己資本比率: 企業の資本がどの程度自己資本によって賄われているかを示します。高い
ほど財務的に安定していると見なされます。
業績の安定性
– 売上高の成長: 安定して成長している売上高は、企業が市場で競争力を持ち続けているこ
とを示します。
– 収益性指標: 営業利益率や純利益率など、企業がどの程度効率的に利益を生み出している
かを評価します。一貫して高い収益性は、経営の質の高さを示唆します。
将来の成長見込み
– 市場のポテンシャル: 企業が展開する市場の成長性や将来性を考慮します。高い成長ポテ
ンシャルを持つ市場で活動する企業は、将来的に高い収益を期待できます。
– 研究開発への投資: 長期的な成長を支えるためには、継続的な研究開発とイノベーション
が必要です。研究開発への積極的な投資は、将来の成長を促進する可能性があります。
– 戦略的投資: 企業が成長戦略として行っている買収や提携なども、将来の成長見込みを判
断する際の重要な要素です。
これらの基準を用いて連続増配企業を選定する際には、公開されている財務諸表や業績報
告書、市場分析レポートなどを詳細に分析することが重要です。また、これらの指標だけ
でなく、業界内のポジションや競争状況、経済全体のトレンドなど、幅広い視点から企業
を評価する必要があります。
注目の連続増配企業リスト【2024年最新版】-賢い投資家の選択
連続50年以上の増配で魅了する、成長を続ける米国の配当株5選
企業名をクリックすると詳細がわかります。↓
・The Procter & Gamble Company(PG)
-セクター:生活必需品(Consumer Staples)
-連続増配年数:67年
-直近株価 :156.10ドル(4/5)
-直近配当:0.941ドル
-配当利回り:2.41%
*配当利回りの計算=(0.941×4)÷156.1×100
-日用品のグローバルリーダーとして、世界各地で安定した需要が見込まれる。継続的なイノベーションと市場拡大戦略が成長を支える。
*連続増配期間は通期の会社発表の数値などを参考にしています。
**配当利回りは直近発表された普通配当を年4回で計算しています。手数料・税金等とは考慮に入れて
いません。また株価、為替の変動により将来も確定されたものではありません。投資はご自身の判断で
5社の配当利回りと配当成長率
企業名 | シンボル | 配当利回り | 配当成長率(年平均、5年) |
P&G | PG | 2.41% | 5.6% |
3M | MMM | 6.64% | 1.0% |
コカ・コーラ | KO | 3.26% | 3.9% |
J&J | JNJ | 3.12% | 5.7% |
ウォルマート | WMT | 1.4% | 3.3% |
***配当成長率は5年前の普通配当と直近の普通配当の比較によるものです。
まとめ
- 安定した収益と将来の成長性を兼ね備えた、連続増配ができる米国企業は投資家にとって魅力的な選択肢。
- 配当を連続して増やし続ける能力は、企業が長期にわたって安定した成長を遂げていることの指標。
- 投資家にとってのメリットは、インフレ対策、複利効果、防衛的投資を兼ね備えている点。
- 需要の安定と、時代の潮流(人口増加や高齢化)を捉え今後も成長が期待できるセクターに多い連続増配企業
マーケットはいつも、ハイテク株のような、きらびやかな企業にスポットをあてますが、
連続増配を続ける実力のある老舗企業の存在も忘れてはなりません。米国株式市場の懐
(ふところ)の深さを狙うなら、IT急成長企業株や人気のS&P500インデックスタイプ
ファンドと連続増配企業との組み合わせ、両方持ちが、長期的には大きな力(良い運用
成果)を発揮する可能性を秘めていると思います。
コメント