金利上昇の恩恵を受ける、一部金融株の好調な数字でスタートした、7-9月期の決算でしたが、それ以上にマーケットは中東情勢や中国の景気動向に神経質になっているようです。
今週のマーケット
今週のポイント
- イスラエルとハマスの衝突は周辺国を巻き込んだ長期化を意識
- 7-9月期の決算発表は、金融株に期待。テスラは😔、ネットフリックスは😁
- 次回FOMC(10/31-11/1)による、米国の利上げ確率は10%以下、見送りは9割以上
主要指標の動き
指標 | 10/20 | 10/13 | 騰落率 |
NYダウ | 33,127.28 | 33,670.29 | ▼1.6% |
S&P500 | 4,224.16 | 4,327.78 | ▼2.4% |
ナスダック | 12,983.81 | 13,407.23 | ▼3.2% |
ドル/円 | 149.85 | 149.58 | |
米国10年国債利回り(%) | 4.93 | 4.62 |
年初来
今年、2023年(年初来)に入ってからの騰落率は
- NYダウ▼0.06%、
- S&P500が+10%、
- ナスダック総合指数+24.1%
- ドル=円では、ドルの上昇率が14.8%(=円安)
- 同期間の日経平均株価も、+19.8%
トピックス
16日MON-週明けの月曜日は、前の週からの決算発表で、金融株中心に市場予想を上回る内容が出て、発表を控える企業に先回りした買いが、また政策金利を据え置くとの観測も相場の支えとなっていました。
17日TUE-9月の小売売上高が市場予想を上回り、米国経済の大半を占める個人消費が「堅調さを保っている」「想定以上に経済は強い」との見方から消費関連や景気敏感株等に買いが入る反面、米国政府が半導体の対中
輸出規制を強化する方針を示したの受け、人工知能(AI)向けの先端半導体が規制の対象になるとの思惑から、インテルやエヌビディアの株に売りが出ていました。
18日WED-金利が上昇し、株式の相対的な割高感意識された高PERのハイテク株と高金利が米国の景気を冷やすとの見方から景気敏感株にも売りが。(バイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相と会談もありましたが、
アラブ首脳らとの会談は延期) 中東情勢を巡る緊張が高まっていることも投資家の心理を冷やしていたようです。また、周辺国を巻き込むという不安から原油先物が上昇、インフレ再燃への警戒も株売りにつながったとの市場関係者の声がありました。
19日THU-長期金利が一時、4.99%(前日4.91%)と2007年以来の高水準へ。朝方発表の週間の新規失業保険申請件数が市場予想を下回り(17日小売売上高や18日住宅着工件数などの数字は、市場予想を上回っていました)、インフレ懸念がまたまた高まったことに加え、
パウエル議長の講演では「さらなる金融引き締めが正当化される可能性がある」その後の討議では「引き締めすぎだと示していない」とFRB(米連邦準備理事会)が金融引き締めを長期化するのではという懸念が再び、市場の重荷となりました。
20日FRI-中東情勢の一段の悪化や、米下院議長選で3回の投票でも決定が出来ず政局混乱への不安から終日株式市場は軟調に推移していました。
7-9月期の決算より
13日(金)
JPモルガン・チェース(JPM)
- 金利上昇とファースト・リパブリック銀行の買収等により、純金利収入が前年同期比で大幅増へ。
- 通期金利収入見通しを上方修正へ
テスラ(18日)
- 値下げ効果で、生産台数(43万台)、納車台数(43.5万台)とも前年同期を上回るも、粗利益率(25.1%→17.9%)は、低下へ。
- 売上高-234億ドル(市場予想241億ドル)
- 一株当たり利益(EPS)-0.66ドル(予想0.74ドル)
*株価は、月末の終値。10/20もその日の終値。カーソルに合わせると株価がわかります。
ネットフリックス(18日)
- アカウント不正共有対策を多くの地域へ導入
- →単独で契約する世帯が増加。会員数は前年同期比11%増の2.47億人へ(市場予想2.44億人)。会員数は北米以外の地域でも市場予想を上回る。
- 売上高85億ドル
- EPS(一株当たり利益)-3.73ドル(予3.49ドル)
*株価は、月末の終値。10/20もその日の終値。カーソルに合わせると株価がわかります。
その他、日用品を手がけるP&G(プロクター&ギャンブル)の決算では、商品価格の上昇等で売上高が市場予想を上回るも、中国での売り上げが低調だったことがわかりました。本格化する決算発表では、低迷する中国景気の影響に加え、
米国政府がAI向け先端半導体や半導体製造装置等について安全保障面からの中国への出荷規制の強化を発表(17日)したことを受け、エヌビディアなどの中国でビジネスを展開する企業への不安を指摘する、一部アナリストがいました。
10/31-11/1のFOMC(米公開市場委員会)を控え直近まで頻繁にあった、FOMCメンバーによる発言がなくなる、*ブラックアウトに入りますが、タカ派的なパウエル議長の講演の発言を加味しても利上げ確率は低く『利上げ見送り』を市場関係者の多くが予想しています。
*FOMCの参加メンバーが政策決定会合の前後の一定期間、金融政策に関しての発言を禁じたルールのこと
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