米国労働省(U.S. Department of Labor Bureau of Labor Statistics)が毎月発表する雇用統計は、アメリカの雇用情勢を調べ、景気の良し悪しを判断する経済指標です。人は、職を得て安定的に仕事ができれば、所得も増え余裕を持って、消費することができます。働く人がアメリカ全体で増加して、積極的にお金を使う機会が増えることで、個人消費が伸び、経済全体も上向きになります。雇用統計、10数項目の統計のうち特に重要で、投資家やマーケット関係者が注目するのは、非農業部門雇用者数(Non-farm Payroll employment)変化と、失業率(the unemployment rate)です。
7月のスケジュール
7月2日(金) | 6月非農業部門雇用者数の増減←ここと |
7月2日(金) | 6月失業率←ここです。 |
7月6日(火) | 6月ISM非製造業景況指数 |
7月7日(水) | FOMC議事録(6/15-16日分) |
7月9日(金) | G20財務相、中央銀行総裁会合(ベネチア、10日まで) |
雇用情勢—2021年6月
雇用統計とは、米国労働省(U.S. Department of Labor Bureau of Labor Statistics)が毎月発表する、米国の雇用情勢を調べた景気関連の経済指標。全米の企業や政府機関などに対してサンプル調査を行い、10数項目の統計が発表されます。主な項目は失業率、非農業部門就業者数、建設業就業者数、製造業就業者数、小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給などです。
米国労働省の発表は、こんな感じです。
6 月の非農業部門雇用者数は 85 万人増加し、失業率は 5.9%とほとんど変化がありませんでした。米国労働省統計局が本日発表しました。顕著な雇用増加は、レジャー・ホスピタリティ、公共・民間教育、専門・ビジネスサービスなどで見られ、公私立教育、専門職・ビジネスサービス、小売業、その他のサービス業で顕著に増加しました。
–米国労働省統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics )サイトから抜粋
非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計されたもので自営業、農業従事者を含みません。対象事業所はおよそ40万社・従業員数約4700万人ほどになりますが、全米の約3分の1を網羅していると言われています。マーケットが注目するのは、雇用社数の前月に比べた変化です。さらに、言うと、エコノミスト等の予想(事前予想の大まかな中央値)との乖離が短期的には、重要になることがあります。
月 | 結果 | 予想 |
6月 | +85万人 | +72万人 |
5月 | +55.9万人 | +67.5万人 |
4月 | +26.6万人 | +100万人 |
3月 | +91.6万人 | +66万人 |
2月 | +37.9万人 | +20万人 |
1月 | +4.9万人 | +10.5万人 |
失業率
約6万世帯が調査対象の、失業者を労働人口(失業者と就業者の合計)で割って計算します。
月 | 結果(%) | 予想(%) |
6月 | 5.9 | 5.6 |
5月 | 5.8 | 5.9 |
4月 | 6.1 | 5.8 |
3月 | 6.0 | 6.0 |
2月 | 6.2 | 6.3 |
1月 | 6.3 | 6.7 |
マーケットの反応
6月の雇用統計発表後のコメントとマーケットの反応を見てみますと
S&P500種は7営業日連続で終値ベースの最高値を更新。これは1997年以来初めてとなる。朝方発表された6月の米雇用統計では、雇用者数が10カ月ぶりの大幅増となった一方、失業率が5.9%と前月から若干上昇。この統計を受け、金融当局が資産購入のテーパリング(段階的縮小)を性急に開始することはないとの見方が強まった。
ーBloomberg7/3より
マーケットの最大の注目は、FRB(米国の中央銀行)が、行き過ぎたインフレにならないように、金利の正常化に向けてこれまで積極的に行ってきた「債券を購入(債券を購入することで資金を市場に大量に流す)する量をいつから段階的に減らすのか-株価等の資産がバブル的に暴騰後、そして急落が起きない、金利が急激上がらないようにするための事前対策を取り始めるのか」の判断です。
インフレへの懸念は、コロナ禍からの回復過程の一過性のもので、「雇用統計は全体的に力強さを増したが、インフレや引き締めに対する懸念を強めるほどではなかった」と雇用統計、特に非農業部門者数の結果をマーケットは短期的にはポジティブに捉えたと解釈できます。
3日の米国株式市場は、主要3指数は、いずれも上昇。S&P500とナスダック総合指数は過去最高値を更新しています。凄い。
- NYダウ 34,786.35(+0.44%)
- S&P500 4,352.34(+0.75%)
- ナスダック 14,639.33(+0.81%)
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